「習近平政権」の今後を占う「4中全会」はなぜ“10月開催”となったか…背景に激化する“権力闘争”、軍幹部が相次いで“失脚”する異常事態も

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中央軍事委員会の欠員

「特に苗氏と何氏は習氏の側近として知られていました。例えば何氏は2022年、南京市に司令部を置く『東部戦区』の司令官から、いきなり中央軍事委員会副主席に就任しました。これは中央委員候補、中央委員、政治局委員を飛び越えた大抜擢と受け止められていたのです。にもかかわらず、彼が失脚したのは間違いありません。そもそも中央軍事委員会における制服組委員の定員は6人ですが、現在のところ存在が確認されているのは3人に過ぎず、残りの3人は欠員状態です。この異常な状態を読み解くヒントになるのは、2024年10月30日に発表された中央軍事委員会の公式文書と、解放軍の機関紙『解放軍報』が翌11月1日の1面に掲載した概要でしょう」(同・田中氏)

 第2回【「人民解放軍」を巻き込んで激化する「習近平派」と「反習近平派」の暗闘…軍が「機関紙」で“独裁体制を批判”の意味】では、中央軍事委員会の公式文書と、解放軍報の1面トップには何が書かれていたのか、そして習氏が“失脚”する可能性はあるのか、引き続き田中氏の分析をお伝えする──。

田中三郎(たなか・さぶろう)
1938年10月、岐阜県高山市生まれ。1972年、防衛大学校電気工学科卒業、陸上自衛隊に任官。一貫して情報幹部として人民解放軍などを調査、研究。一時期外務省中国課に出向し外務事務官として勤務。陸上自衛隊小平の業務学校業務管理教育部長(1佐)を最後に退官。現在は主に月刊誌「軍事研究」に論文を発表している。

デイリー新潮編集部

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