TBSの日韓合作ドラマが低空飛行のワケ かみ合わない日韓の制作陣 目立つミスマッチ

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双方のギャップが浮き彫りに

 例えば、テレビ朝日が今年4月期に放送したドラマ「魔物」(金曜深夜)は、「梨泰院クラス」で知られる韓国の大手スタジオSLLと同局が共同制作したオリジナルドラマ。麻生久美子(47)と塩野瑛久(30)が主演を務めた愛と欲望の問題作だったが、期待されたほどの高視聴率は獲得できなかった。

「日本のテレビ局としては韓国の“スタジオ制作”のノウハウを吸収する絶好の機会です。しかし、韓国ドラマのド派手な演出や劇的な展開と、日本の落ち着いた演出スタイルが噛み合わず、双方のギャップが浮き彫りになるばかり。

『初恋DOGs』について言えば、弁護士役の清原果耶(23)や動物医役の成田凌(31)、ドッグカフェ店長役の深田恭子(42)といった人気俳優を起用しているにもかかわらず、ストーリー展開が水と油を混ぜたようで脱落者が続出しています。

 ドラマの舞台はどこにでもある夏の海岸風景なのに突然、韓国の財閥御曹司が登場して平凡な日本の弁護士、獣医と絡むという設定があまりに非日常ですし、韓国俳優が大金持ちの御曹司役というのも韓ドラの典型過ぎて違和感をぬぐえないのです」(前出の放送ライター)

「初恋DOGs」の視聴率苦戦には脚本と日韓の演出スタイルのミスマッチが背景にあるようだ。

「日韓合作という試みはチャレンジですが、それ自体がコンテンツの魅力になるには視聴者が納得できる設計が必要です。撮影現場では韓国側演出陣から『このシーンは世界の視聴者からどう見えるか』などの問題提起が多数あり、日本側スタッフの気付きに繋がっています。しかし、1話の予算が1億円を優に超える韓国ドラマに対し、日本のドラマ制作費は1話3000万円ほど。ナ・イヌというアジアの大スターが出演しているのにもかかわらず、『初恋DOGs』が至極平凡に見えてしまうのはこうした低予算にも原因がありそうです」(TBS関係者)

 TBSは「初恋DOGs」に続いて、来年1月期に「DREAM STAGE」(午後10時)を放送する。こちらもCJ ENM Japanが企画に参加する日韓合作ドラマだ。業界を追放された日本人の男性プロデューサーと韓国の弱小芸能事務所に所属する落ちこぼれ練習生7人が、世代や国籍を越えて大スターになる夢を目指す熱い絆の物語という。同局では2022年10月期にそっくりなストーリーのドラマ「君の花になる」(火曜10時)を放送している。早くも業界からは「二番煎じ」といった声が上がっているが、果たして世界に通用するヒット作となるのか。

デイリー新潮編集部

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