夏の甲子園で本当に起きた“珍サヨナラ劇” まさかの凡ミスで敗退 「球場全体が敵のように…頭がパニックになった」と悔やむ球児も
上を向いて胸を張っていけ
3対3の同点でタイブレークとなった延長10回裏、中京大中京は9番・村上遼雅の犠打が敵失を呼び、無死満塁のチャンス。次打者・西村友哉は、前進守備のセカンド・錦織拓馬の後方に飛球を打ち上げた。
一塁塁審がインフィールドフライを告げ、1死となったが、右翼方向からの強い浜風が吹くなか、バックしていた錦織は打球に追いつきながら、外野の芝生手前で落球してしまう。
「もしかしたら落とすかもしれない」と考え、ベースに足を乗せながら本塁方向に体重をかけていた三塁走者・前田識人は、ボールがこぼれるのを見ると、果敢にスタートを切った。錦織の必死の送球も間に合わず、無情のゲームセットに……。
好判断で「人生初」のサヨナラのホームを踏んだ前田は「チームの無敗記録(前年秋から公式戦28連勝)を有終の美で飾ろうと思っていた。本当に無我夢中で走りました。今後の野球人生に向けて、とてもいい経験になりました」と振り返った。
一方、9回から途中出場していた錦織は「焦ってグラブに当たってしまった。大事にいき過ぎた。ここまで試合を作ってくれた仲間に申し訳ない」と悔やみに悔やんだが、試合後はチームメイトに「上を向いて胸を張っていけ」と励まされていた。
[3/3ページ]





