夏の甲子園で本当に起きた“珍サヨナラ劇” まさかの凡ミスで敗退 「球場全体が敵のように…頭がパニックになった」と悔やむ球児も

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台無しにしてしまって申し訳ない

 1点もやれない一打サヨナラの場面で、普通ならあり得ないプレーで勝敗が決したのが、2014年の1回戦、鹿屋中央対市和歌山だ。

 1対1の延長12回裏、鹿屋中央は三ゴロエラーを足場に犠打と、山下亮太の安打で1死一、三塁とチャンスを広げる。

 だが、次打者・米沢佑弥の打球は併殺コースの二ゴロ。市和歌山の内野陣は、中間守備を取っていたので、バックホームで決勝点を阻止するか、4‐6‐3の併殺で一気にスリーアウトチェンジを狙うか、二者択一のいずれかと思われた。直前の守備のタイムでも「まず本塁で刺す。状況次第では一、二塁で併殺」と確認したばかりだった。

 打球を処理したチームきっての名手・山根翔希も「本塁に投げるつもりだった」そうだが、「球場全体の声が敵のように向かってきて、頭がパニックになった」と冷静な判断力を失い、「知らない間に一塁に投げてしまった……」。

 この送球の間に、三塁走者・大田豪が生還。打者走者・米沢も「全力で走って、後ろを向いたら試合が終わっていてびっくりした」と信じられない表情になる珍サヨナラ劇となった。

 試合後、山根は「自分のせいで台無しにしてしまって申し訳ない」と涙にくれたが、エースで主将の赤尾千尋は「あいつの守備にこれまで助けられてきた。あいつで終わったなら、仕方ない」とチームメイトを思いやった。

 山根は大学でも野球を続け、卒業後の2022年春、和歌山東の野球部副部長として再び甲子園にやって来た。

 インフィールドフライでアウトが宣告された直後、三塁走者がサヨナラのホームを踏むという珍幕切れが見られたのが、コロナ禍で春夏ともに甲子園大会が中止となった2020年、センバツ出場が決まっていた32校を招いて8月10日から甲子園で行われた交流試合第3日の第1試合、中京大中京対智弁学園での出来事だ。

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