「巧妙なニセ情報に弱い」だけじゃなかった…AIによるファクトチェックが完璧と言えない「根本的な問題」

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AIを人間がファクトチェックする

 SNS全盛の昨今、ファクトチェックの重要性が世間一般においても強く認識されるようになりました。特に、参議院選挙のような大きな選挙が行われる際には、新聞各社などが紙面やwebサイトを通じて、ファクトチェックの結果を頻繁に載せるようになったことにお気づきの方も多いでしょう。

 いずれにしろ、ChatGPT自身の回答がすべてを物語っていますが、ファクトチェックは最終的にはAIではなく、必ず人間がやらねばなりません。AIが人間(の書いた原稿)をファクトチェックするのではなく、AI「を」人間「が」ファクトチェックする、という構図が基本であり、それはどんなにAIが進化しても、未来永劫、変わらないのではないでしょうか。

 では、もし「AIが人間をファクトチェックする時代」が到来してしまったら。その時は時すでに遅し、「AIによる人間の侵略」といったSF的な世の中になっているのかも……。今夜の夢に出てきませんように。

 次回は「素読み」、すなわち誤字脱字や差別表現などのチェックについて、AIの能力がどこまで来ているのかを考察してみます。

甲谷允人(こうや・まさと Masato Kouya)
1987年、北海道増毛町生まれ。札幌北高校、東京大学文学部倫理学科卒業。朝日新聞東京本社販売局を経て、2011年新潮社入社。校閲部員として月刊誌や単行本、新潮新書等を担当。新潮社「本の学校」オンライン講座講師も務める。

デイリー新潮編集部

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