どうして私には“あだ名”がないのか? 唯一無二の「キラキラネーム」より「ニックネーム」をつけやすい“名付け”を勧める理由
あだ名になりやすい苗字
明星食品のカップ焼きそばには「一平ちゃん 夜店の焼きそば」があるが、これもやはり「一平」あってのネーミングである。「弘之ちゃん 夜店の焼きそば」なんてものは成立しない。ましてや、私の名前である「淳一郎」を冠した「淳一郎ちゃん 夜店の焼きそば」なんてものは「弘之ちゃん」以上にあり得ない。カップ焼きそばのイメージ(ペルソナ)としては、キップがよく、面倒見が良いニイチャンのイメージとして「一平」が採用されたのだろう。あとは「太一」も何かと下の名前で呼ばれやすい。
女性の場合は「み」か「り」で終わるのがあだ名がつきやすい。というのも、「まなみ」だと「マナミン」で、「ほなみ」だと「ホナミン」になる。だからこそ、シミ・そばかすを防ぐ効果があるとされる小林製薬の「ケシミン」が成立するのだ。「り」であれば、「まり」は「マリリン」のパターンや「かおり」で「カオリン」になる。シオリンやアカリンもあだ名としてしっくりくる。
あとは「ケン(健)」もそうである。高倉健の影響が大きいと思われるが、「健さん」と呼ばれがちだ。中学時代、「〇川健」という同級生がいた。彼は超イケメンで足が無茶苦茶速かったのだが、そこに尊敬の念を込めて「健さん」と呼ばれていた。
この「健」は使い勝手がよく、漢字に限らず「けん」と読めばあだ名がつけやすい。小沢健二は「オザケン」、デザイナーの佐野研二郎氏は「サノケン」、茂木健一郎氏は「モギケン」、指揮者の小林研一郎氏は「コバケン」、椎名誠氏著『わしらはあやしい探検隊』には唯一の少年メンバー「フジケン」が登場する。茂木氏は『モギケンの音楽を聴くように英語を楽しもう!』という著書さえあるのだ。
他にもあだ名になりやすいのは「満(みつる)」だ。これを音読みすると「マン」になり、伊東満さんは「イトマン」、片山満さんは「カタマン」だ。
上記は名前をどうするか、だが、すでに与えられた苗字でもあだ名になりやすいものがある。「渡辺」は後で何が来ようが「ナベナントカ」になるのだ。サックス奏者の渡辺貞夫氏は「ナベサダ」、読売新聞元主筆の渡邉恒雄氏は「ナベツネ」だ。まぁ、本人はこの呼ばれ方は嫌いだったようで、以前インタビューした時「せめて『ワタツネ』と呼べ!」と言われた。
他にも佐藤は佐藤江梨子が「サトエリ」となったり、阪神タイガースの佐藤輝明が「サトテル」となるようにあだ名にしやすい。なお、サトテルは「テル」とも呼ばれるが「てるてる坊主」の親しみやすい語感のお陰もあって「テル」も呼び名として優れている。また、「権田」や「熊田」といった強そうな名前も「権ちゃん」「熊ちゃん」などとしやすい。恐らく我が子がどんな呼ばれ方をするか、なんて考える親御さんは滅多にいないだろうが、この件について話し合うと、名前を考える楽しみの幅が広がるかもしれない。





