デビュー60周年の美川憲一、GLAYのTAKURO×B’z松本孝弘の“超豪華タッグ”と奏でる新曲で見せる“新境地” 「まだまだしぶとく、しぶとく生きるのよ~!」

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61年目も気合い十分!「前を向いてやらなきゃダメ」と自分に喝

 しかも、こうした大物のタッグの場合、表題曲だけを担当することが多いが、今回はカップリングの「華散れど月は輝く」(Spotify第23位)も松本孝弘×TAKUROによるコンビだ。内容は、母ひとり、子ひとりで育った主人公が旅立った日を、舞い散る花びらや涙でにじむ月を見ながら思い起こすという、美川だからこそ歌える大人のロッカ・バラードだ。松本のむせび泣くようなギターのフレーズも、切なさを増幅させる。

「どちらも本当に素晴らしい作品ができたんです。どちらかと言うと、私はスケール感のある『華散れど月は輝く』が好きなんですが、ノリがよくテンポ感のある曲の方が今っぽいなと思い、『これで良しとする』をA面曲にしました。『華散れど月は輝く』は、盛り上げるところはしっかりと高めて歌うように心がけています。

 と言っても、今度のファンの集い(記事掲載時にはすでに終了)で初めて歌うんですけれど(笑)。他に、3年前の『別れてあげる』や初期の『女とバラ』『駅』にもたくさんラブコールが来ているので、頑張って歌いますよ。この31位にある『スカーレット・ドリーマー』(作詞:小谷夏、作曲・編曲:都倉俊一)も、リクエストが多いんですよ。私も好きなんですけれど、振付けが難しくて……。いつか頑張って歌いたいです」

 それにしても、こうしてチャレンジを止めない美川の原動力はどこにあるのだろう。

「歳とともに腰が重くなるんですが、“しっかりと前を向いてやらなきゃダメ”といつも自分に言い聞かせています。この記念シングルで松本さんとTAKUROさんに書いていただいたから、今のところ、次のリクエストはありません。でも逆に、若い方が私に歌わせたいというなら、しっかりと検討しますよ。

 今年で61年目に突入しましたが、この60周年コンサートは、もう少し引っ張ります。それと、ショッピングモールでのミニライブ(『これで良しとする』の発売記念イベント)も、やれる限りやりますよ。この歌は、初めて聴いた方でもすごくノリノリで盛り上がるんです。だからぜひ聴いてみてください」

 最後に、サブスクなどで新たに美川憲一を知ったリスナーに向けてのメッセージをお願いすると、テレビ用のハイテンション(笑)で力強く語り出した。

「毎月、数万人もの方々がサブスクで私の歌を聴いてくださることが嬉しいです。私も、みなさんの想いに応えるように、しっかりと歌い続けていきますから、どうぞこれからも応援よろしくね! 頼むわよ! そのためには、みんなも私もしぶとく、しぶとく生きるのよ~!」

 シリアスなシャンソンや、ノリのいい歌謡ロック、ブルースなど幅広い作品に挑んで歌う一方、コミカルな衣装やメイクでCMキャラクターを演じたり、ご意見番として世話を焼くように旬の芸能ニュースを語ったりする美川憲一。芸歴60年の超大御所が身をもって示す“しぶとく生きる”には、とてつもないエネルギーが内包されているのだと実感した。日常生活で理不尽なことがあった際、彼の“しぶとく生きる”さまを思い出せば、多少時間がかかったとしても乗り越えたいと、大いに励まされるであろう。

 インタビュー第1弾では、最大人気曲「さそり座の女」や、平成初期での再ブレイクについて、第2弾では小林幸子との“豪華衣装対決”秘話などを語ってくれた。

【INFORMATION】
◎デビュー60周年記念シングル発売中
表題曲「これで良しとする」、カップリング曲「華散れど月は輝く」ともにB'zの松本孝弘さんが作曲、GLAYのTAKUROさんが作詞を担当。60周年にふさわしい楽曲となった本作をご堪能あれ!

◎コンサート情報
・2025年7月20日「斎藤絹枝ふれあい歌踊チャリティーコンサート」ゲスト出演
 会場:神奈川県愛川町文化会館ホール
・2025年7月24日「東京都 美川憲一・コロッケスペシャルコンサート」
 会場:J:COMホール八王子/チケット:全席指定7700円
詳細は公式ウェブサイトにて 

【PROFILE】
美川憲一(みかわ・けんいち)
1946年5月15日生まれ。長野県出身。作曲家・古賀政男の指導を受け、1965年、シングル「だけどだけどだけど」でデビュー。'66年、3rdシングルの「柳ヶ瀬ブルース」が大ヒットとなり、以降も「新潟ブルース」「釧路の夜」などがヒット。'68年には「釧路の夜」でNHK『紅白歌合戦』に初出場し、以降、7回連続出場。'80年代後半、コロッケによるモノマネや、ちあきなおみとのCM共演などが話題となり再ブレイク。'91年には『紅白歌合戦』に17年ぶりの復帰を果たし、以降19回連続出場となった。並行して'90年代後半からはシャンソンにも力を入れており、定例のコンサートを開催、シャンソンだけのアルバムも制作している。'24年には、デビュー60周年記念シングルとしてB’zの松本孝弘が作曲、GLAYのTAKUROが作詞を手がけた「これで良しとする」を発表した。

臼井孝(うすい・たかし)
人と音楽をつなげたい音楽マーケッター。1968年、京都市生まれ。京都大学大学院理学研究科卒業。総合化学会社、音楽系の広告代理店を経て、'05年に『T2U音楽研究所』を設立し独立。以来、音楽市場やヒットチャートの分析執筆や、プレイリスト「おとラボ」など配信サイトでの選曲、CDの企画や解説を手がける。著書に『記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝』(いそっぷ社)、ラジオ番組『渋谷いきいき倶楽部』(渋谷のラジオ)に出演中。データに愛と情熱を注いで音楽を届けるのがライフワーク。

デイリー新潮編集部

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