美川憲一、『紅白』の風物詩となった小林幸子との“豪華衣装対決”は「宝石まで全部自前。私から仕掛けた」 90年代再ブレイク時の思い出を語り尽くす

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“ブルース3部作”が大ヒット、『おんなの朝』は歌詞NGによりNHKで歌えず……

 では、ここからはSpotifyの再生回数ランキングを見ていこう。

 人気曲第2位は’66年の「柳ヶ瀬ブルース」、第3位は’67年の「新潟ブルース」、そして第4位は’68年の「釧路の夜」と、3年連続でリリースされたご当地ソングとなった。3部作誕生のきっかけとなった「柳ヶ瀬ブルース」は、夜の街に似合いそうなけだるい歌謡曲で、それに合わせて美川も見事に物憂げに歌っている。

「実は『柳ヶ瀬ブルース』は、歌うのがとても嫌だったんです。その頃19歳だったし、もっと若々しい曲のがいいのに……って、ふてくされて歌っていました。そうしたら、それが“冷めている感じでいいね”って言われて大いにウケたんです(笑)。

 この歌の時は、柳ヶ瀬でキャンペーンをやらせてもらったんですが、当時同じレコード会社(クラウンレコード)に所属していた歌手の方々がたくさん応援に来てくださって、大盛り上がりだったんです。ステージを作った商店街はすし詰め状態で、歩けないほどでした。それがきっかけで大ヒットしたんです。今はもうシャッター通りになりましたが、当時はクラブやキャバレーが全盛で活気がありましたね。次の年の『新潟ブルース』もヒットして、いち早く歌碑を建ててくださいました」

 そうして、3年連続ヒットとなった「釧路の夜」では『NHK紅白歌合戦』にも出場し、その2年後にはオリコン最高10位となった「おんなの朝」をヒットさせており、こちらもSpotify第5位と、今も人気だ。

「『おんなの朝』は、私の曲のなかでは『さそり座~』やご当地ソングとはかけ離れたイメージがあるので、意外とテレビでもコンサートでも歌っていますよ。女心を歌っていますが、この曲の前にバーブ佐竹さんがヒットなさったこともあり、“男性が女心を歌う”というのが流行ったんでしょうね」

 しかし、それだけのヒット曲なのに、同年の『紅白』では歌っていない。

「『おんなの朝』は、♪ゆうべあんなに燃えながら 今朝は知らない顔をして♪ という歌詞が引っかかって、当時のNHKでは歌えなかったんです。他には、若いファンの方に好きだとよく言われる『お金をちょうだい』(Spotify第21位)とか、 ♪お前がもしもその顔を 焼いても愛は変わらない~♪ という出だしの『うらぎりの町』(同圏外)とかもNGでしたよ。今はどれもテレビで歌えますけど、私って当時から、変わった歌が好きなんでしょうね」

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