「人口減少率」が全国ワーストの「秋田県」…県出身者コミュニティの代表は「出身中学の新入生は3人だけで、もはや壊滅に近い状態」と危機感をあらわに

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故郷の衰退を深刻に感じる

 ――故郷に帰省して感じることは。

 秋田へは定期的に帰省していますが、街中を歩く人は年々少なくなり、平日は人ひとり歩いていないこともあります。昔では当たり前の光景だった、街中をたむろする小中高生の姿も、ここ10年でほぼ見かけなくなりました。私の出身中学校は県内でも小規模でしたが、かつて1学年80人前後だった生徒数も、今年はとうとう入学生がたったの3人となってしまいました。

 もう秋田は人口が少ないどころの話ではなく、壊滅、消滅に近い状態です。政府の大胆な政策が今後も見込めないなかで、これから人口減少対策は何をやったとしても、もはや手遅れの状態だと思います。それでも、秋田県が置かれている都道府県ワーストワンの不名誉な記録をまずは脱することを始める必要があり、私たち県外在住者もどう秋田と関わり、何をしていくべきなのかが問われていると思います。

 ――そんななか、今年4月から鈴木健太知事が就任したが。

 知事が交代してからは、県が発信する政策を注意深く、関心を持って見るようになりました。新しい知事は、移住者を受け入れるための政策も積極的に進めようとしている姿勢がうかがえます。7月には、県庁内にマーケティング戦略室という新しい部署を立ち上げ、20代の方を室長に抜擢されました。

「即断即決、即実行」というこれまでにない姿勢に対し、期待感を持って見守っています。私が主宰する「秋田県人会大交流会」には、20~40代の県出身者の男女が多数参加していますが、鈴木知事にも、ぜひタイミングが合えば輪に加わっていただきたい。そして、私たちと一緒に秋田の良い未来を語りあえる日が来ることを願っています。

 第2回【秋田県は「未曽有の人口減少」から抜け出せるか? いまだ影を落とす「コロナ禍」がもたらした“分断”とは】では、県出身者コミュニティ代表の高橋氏が、都内で行う、秋田県に人を取り戻すための取り組みについてや、コロナ禍がもたらし、今も尾を引く「分断」について語っている。

取材・文=山内貴範

デイリー新潮編集部

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