「人口減少率」が全国ワーストの「秋田県」…県出身者コミュニティの代表は「出身中学の新入生は3人だけで、もはや壊滅に近い状態」と危機感をあらわに
深刻な人口減少に見舞われる秋田県
秋田県の人口減少率は日本一と言われている。2017年に100万人を割り込んだ人口は、今年の4月に約88万人となり、約7年間で約12万人が減少するほどの急減に見舞われている。ちなみに、秋田県横手市の人口は約7万9600人、大館市の人口は約6万4600人である。県内から1つ、2つの市が消えてしまったほどの人口減少である。
今回、秋田県湯沢市出身で、秋田出身者が集う県出身者コミュニティ「秋田県人会あきたいざたん」を運営する代表の高橋純一氏に、県の課題について話を聞いた。高橋氏は、首都圏にいる県出身者と親交が深く、出身者が集まるイベントの企画を行うほか、SNSなどを通じて秋田県を取り巻く諸問題についても発信をしている。
話を聞いていると、秋田県がこれまで取り組んだ人口減少対策がことごとく失敗していることや、移住促進の取り組みも上手くいっていないなど、あらゆる面で県の無策ぶりが浮かび上がってきた。また、約3年にわたって続いたコロナ騒動も、秋田県に大きな影を落としているのだという(全2回のうち第1回)。【取材・文=山内貴範】
秋田県の人口減少対策に強く想うこと
――秋田県の人口が減少していることを、率直にどう見ているのか。
県全体が人口減少、経済縮小の波に乗っています。しかし、こうした人口減少は以前から予想されていたことです。対策は行ってきているのだと思いますが、十分ではないと思っています。
今年の4月、国内の労働力不足を報じる新聞記事をたまたま見る機会がありました。2024年の生産年齢人口が2008年比でどれぐらいの割合で増減しているかを、都道府県別に算出したものです。その表を見ると、なんと秋田県は全国ワースト、47都道府県の中で唯一30%以上のマイナスでした。
これは、県内の将来を担う若い人から働き盛りの人までの幅広い年代が、約16年間で県外に大量流出した可能性があるということですから、ショックは大きかったです。驚くべきことに、この比較対象の期間が、2009年に就任して今年4月に退任された佐竹敬久前秋田県知事の任期中とほぼ重なっていることがわかり、何とも言えない気持ちになってしまいました。
この16年間の秋田県の人口減少政策の成果は、ゼロどころかマイナスであった可能性があることが、この統計から読み取ることもできます。もちろん、これは前知事だけのせいではありません。前知事とこれまで対峙してきた、県議会議員のみなさんにも同じく責任があるのではないかと思います。
そして、秋田在住者のみならず、私たち県外在住者もこうした問題に関心を持ってこなかった、向き合ってこなかったという証拠だと思っています。私自身も、故郷に対して申し訳ない気持ちがあります。
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