「何で自分はこの舞台にいないんだ…4年ごとにこんな思いをする人生は嫌だ」 競技を辞めたはずの男がもう一度馬に乗るまで(小林信也)

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 10歳で乗馬を始め、高校、大学で日本一になった大岩義明は明治大学を卒業する時、競技生活に別れを告げ、就職の道を選んだ。未練はあったが、乗馬で暮らす未来は描けなかった。長く競技を続ける選手の大半は、実家が乗馬クラブの経営者か富裕層の子弟に限られていた。大岩はいずれでもなかった。父は自営業、その仕事を継ぐ気もなかった。

「ビル管理の会社に入りました。配属されたのは、夜中にレストランの厨房機器の虫を駆除する部署。ゴキブリ退治でした。厩舎で馬の世話をしていたせいか 、汚れ仕事がそれほど苦ではありませんでした」
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