ハワイで谷村新司から「3人で一緒にやらないか?」 ドラマー・矢沢透が振り返る「アリス」誕生の瞬間

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「3人でやらないか」

 そして仲間とメキシコ、ロサンゼルス、ハワイと移動しているうちに、なぜか2人きりになってしまった。ホテルもずっと一緒。ハワイの海岸で2人で日向ぼっこをして過ごし、ホテルに戻って何気ない会話をしている時に谷村から、「今度東芝からデビューすることになっている」と打ち明けられる。

 アリスに誘われたのはその時だった。その時点ではまだ堀内の存在は知らなかったという。

「堀内もいるから、3人で一緒にやらないか」

 矢沢が頷く。それがアリス誕生の瞬間だった。

 アリスは活動を停止しながら、09年から完全に再始動。谷村の死はそれから14年後。再始動後のアリスはどんなバンドだったのか。矢沢いわく、「アリスは激しい」。

 普通ドラムはバンド、曲を盛り上げるのが役割だが、「歌とドラムがギリギリまで闘っている」のだという。闘う気がないなら休む。「闘っても、歌とドラムのバランスがいいと、うるさいと感じないのでしょうね」と矢沢は言う。

 矢沢のドラムはバスドラ(大太鼓)とスネア(小太鼓)のバランスがいいといわれる。もちろん、そのベースになっているのは米軍キャンプを回って1日15時間叩いた経験だ。

峯田淳/コラムニスト

デイリー新潮編集部

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