中日「金丸夢斗」が大きく振りかぶって“初勝利”! 逸材左腕は「ワインドアップ」投法のままエースになれるか

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消えゆくワインドアップ投法

 この対戦打者の「タイミングを外す」テクニックは完全に定着し、プロ野球界では変化球の球種のように多用されている。また、

「強豪高校のピッチャーなら、クイックモーションでタイミングを外すくらい簡単にやっていますよ」(前出・同)

 学生、社会人のアマチュア球界でも、セットポジションから投げる投手が増えているそうだ。

 金丸の母校である関西大学の関係者によれば、一学年に約10人の投手がいて、彼が入学してきた21年は「40人中37人」がノーワインドアップ投法やセットポジションで投げる投手だったという。

「実は金丸も、最初はノーワインドアップで投げていました」(関係者)

 同大学出身の元プロ野球投手で、現在は同野球部のアドバイザリースタッフも務める山口高志氏(75)がワインドアップ投法を勧めたのは有名な話だ。

 ただ、投球動作が大きくなる分、クセがバレやすくなる。球種が見抜かれるリスクが増えることも説明されたが、金丸は身長177センチと、近代野球では小柄なほうだ。肘を伸ばした状態で左手とグローブをはめた右腕がクロスすれば、打者からは大きく見える。また、何よりもワインドアップ投法でボールの威力が増した。時代に逆行する育成法だったが、高校時代まで無名に近かった小柄な左腕が、侍ジャパンに選出されるまでになったのだから、彼にはワインドアップ投法が合っていたのかもしれない。

「ワインドアップ投法の投球動作で両腕を頭の腕に上げた際、打者の目線も上に動き、それでボールの軌道を見誤る、かつてはそんな“利点”が唱えられた時代もありました」(前出・在京球団スタッフ)

 見慣れない投法フォームが功を奏したのか、2年生春からワインドアップ投法に変えた金丸の通算成績は20勝3敗(1年生の秋までが1勝1敗)。4年間の通算防御率が0.83(同1.93)という結果を見れば、ワインドアップ投法が金丸を成長させたと言っていいだろう。

「指名に当たり、ワインドアップ投法の是非は昨秋のドラフト会議では出ていません」(前出・同)

 だが、金丸は中日指名後のインタビューでワインドアップ投法について質問され、「続けるのが厳しいと思えば、変えればいい」と答えている。このクラシックな投法に執着していないようだった。

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