中日「金丸夢斗」が大きく振りかぶって“初勝利”! 逸材左腕は「ワインドアップ」投法のままエースになれるか

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悲願の初勝利!

「ピッチャー、大きく振りかぶって第一球を……」

 プロ野球中継といえば、投手の投球モーションから始まるもの――そう思うファンは多いはずだ。中日ドラゴンズの“黄金ルーキー”金丸夢斗(22)が勝っていなかったら、このお馴染みの「大きく振りかぶって」というフレーズも消えてしまったのではないだろうか。

 8月7日の阪神戦で金丸がプロ初勝利を挙げた。10試合目の先発でようやく掴んだものである。

「3日前、金丸はバンテリンドームナゴヤで練習していました。ランニングやキャッチボールなど、先発3日前の調整を変わらずにこなしていました。雰囲気は明るかったと思います。並みのピッチャーだったらここまで勝てないと、考えすぎて体の動きも鈍くなるものです。金丸はハングリー精神の強い投手なんでしょう」(名古屋在住記者)

 金丸は4球団競合の末に中日入りが決まった。関西大学在学中の侍ジャパン入りが示したように、その実力はすでに証明されていたが、7日の阪神戦登板前の成績は0勝4敗。しかし、防御率3.12(6日時点)の数値からも分かる通り、勝てない理由は「打線の援護に恵まれない」だった。金丸の今後に期待する声は中日ファン以外からも聞かれた。彼の投球フォームには“ロマン”があるからだ。

「ワインドアップで投げ込む投手は、中日では15年シーズンで引退した山本昌氏(59)以来です。球界全体でも21年に引退した松坂大輔氏(44)以降、ワインドアップ投法のピッチャーは見かけなくなりました」(在京球団スタッフ)

 金丸は、対戦するバッターに体の正面を向けて立つ。味方捕手とのサインの交換後、両腕を大きく、頭の上まで上げ、右足も大きく上げて踏み出していく。このワインドアップ投法で投げ込む投手が、近年では激減しており、一部では“絶滅危機種”などという言われ方もしている。

 もっと言えば、近年は振りかぶる腕を顔の前で止めるノーワインドアップ投法で投げる投手が多い。また、走者のいない場面でもセットポジションで投げるタイプも増えてきた。その理由について取材すると、ワインドアップより投球動作が少ないノーワインドアップやセットポジションのほうが「制球力」も増し、鋭い変化球の再現性も高まるという。投球動作が小さくなることでスタミナ・ロスも防げるばかりか、ノーワインドアップやセットポジションでしかできない利点もあるそうだ。

「18年シーズン、阪神に在籍したウィリン・ロサリオ氏(36)を覚えていますか。彼は韓国プロ野球で2年連続の打率3割超え、本塁打30本強、100打点以上をマークし、4番を予定して阪神も獲得しました。そのロザリオが日本で全然打てなかったのは、ノーワインドアップやセットポジションにやられたからです。対戦投手は走者の有無に関わらず、クイックや足を上げてから動作スピードを変えるなどし、タイミングを外していました」(前出・同)

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