【医学部合格への方程式】「これをやると本番まで引きずる…」夏の後半戦を前に必ず知っておくべき「やるべきこと」「やってはいけないこと」
現役生も浪人生も「秋のための仕込み」を
ですから、夏のうちに受験校の過去問にはぜひ目を通し始めたいところです。どんな問題を解けるようになる必要があり、逆にどんな問題は捨ててしまってよいのか、今後の方針を固めていくためです。
その上で、苦手をつぶし、基礎を固めることを徹底しましょう。
夏に土台を固められさえすれば、直近の模試での成果には直結せずとも、9月以降の飛躍に必ず繋がってきます。ある意味で秋以降の「仕込み期間」とも言えるわけですね。効率的な最短ルートを歩みつつも、焦らずに基礎と丁寧に向き合える生徒ほど、その後の伸びが期待できます。
なお浪人生の場合先を急ぎたくなる気持ちもわかりますが、現役時代に何かが足りなかったがゆえにうまくいかなかったわけですから、その「何か」を夏につぶしておくことを優先すべきなのは、現役生と何ら変わりません。
難問を解けるようになる必要はない
また、医学部に合格するにはまず難問を解く力を身につけねばというイメージを持たれている方も多いようですが、本当のカギは、「基礎~標準レベルの問題を確実に解けること」です。
たとえば私立大の医学部の場合、だいたい正答率6~7割程度が合格ラインになることが多くなります。そこを安定して超えられるようになるためには、解ける人が限られる難問を突破する必要はなく、「誰でも解けるような問題」を取りこぼさないことこそが重要になってくるわけです。
このように考えていくと、医学部受験生こそ夏のうちに基礎を固め、苦手をつぶしておくことがいかに大切であるか、おわかりいただけるのではないでしょうか。難問はたしかに“勉強している感”は得られやすいのですが、目指すべきゴールから逆算して、本当に必要な勉強を見失わないようにしましょう。
「四当五落」は昔の話
夏の落とし穴はもう一つあります。
特に現役生に多いのですが、学校が休みであるがゆえに、生活リズムが崩れてしまうリスクが大きいのです。
いくら夜の方が集中して勉強ができるといっても、ここで一度夜型に切り替わってしまうと、それを元に戻すのは簡単ではありません。学校が始まってからも「夜遅くまで勉強するけど、学校ではずっと眠いまま」という生徒をこれまで何人も見てきました。
当然ながら試験本番は朝に始まるわけで、最初の科目から集中できる体を作っておくことも大事な試験対策です。それでも、夏に定着した「夜型」のサイクルからなかなか抜け出せず、本番まで引きずってしまう人が少なくないんですね。直前に矯正しようと思っても、簡単なことではありません。
一昔前なら、「四当五落」なんて言葉があったように、寝る間を惜しんででも勉強することこそが美学とされていたこともありました。しかし過度に睡眠時間を削ることは、学習の定着効率の観点からしてもよくないことが科学的にわかってきています。親御さん世代には「毎日3時まで勉強していて偉い」などとお感じになる方も少なくないかもしれませんが、時代は変わっていることも忘れてはならないと私は思います。
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