来春センバツから「DH制導入」で強豪校が優位に? 高校野球に「大谷ルール」がもたらす問題点とは

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来年からDH制

 第107回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園大会)が始まった。

 それにしても、高校野球の光景は変わった。急激な気候変化を受けて、暑さ対策、熱中症対策にも入念な準備をしなければならず、昨年の午前、夕方の二部制に加えて、今年は開会式を午後4時からスタートさせた。

「23年から5回終了時に体を冷やすため、水分補給も行うクーリングタイムが導入されました。『朝ごはんをしっかり摂ってから球場入りするように』とのリリースも宿舎に届けられています。試合中のベンチ奥には冷風機が置かれ、クーラーボックスのなかには氷水を入れた氷嚢もたくさん用意されています。ドリンクはもちろんですが、大会中、球場の控え室には球児が体ごと冷やせるアイスバスも設置されるようになりました」(出場校の教員)

 また、開会式の始球式では女子選手がその大役を務めた。中京大中京高・軟式野球部に所属する森本愛華さん(3年)は、今年3月開催のアジアカップに5人制野球の代表として出場し、女子選手のMVPにも選ばれている。前出の出場校教員や関係者らによれば、「5人制野球」はゴムボールを使用し、コンパクトなフィールドでもゲームができるので、野球・ソフトボールの競技者人口の減少にストップをかけるために設けられた新競技だという。男女混合スポーツでもあり、森本さんの起用には「将来の競技普及や裾野の拡大」の意義も秘められていたそうだ。

「始球式といえば、文部科学大臣が務めるなど、お堅いイメージもあったんですが。時代も変わりましたね」(アマチュア野球担当記者)

 昨春のセンバツ大会から導入された低反発の新・金属バットもそうだが、高校野球を取り巻く環境は大きく変わってきた。しかし、本当の変革はこれからが本番のようだ。

 去る8月1日、日本高野連は大阪市内で理事会を開催し、来年度の公式戦からDH(指名打者)制を採用することを正式に決定した。全国レベルの大会では来年3月のセンバツ大会からの実施となる。

「DH制の導入は、今年1月に高野連が設けた『7イニング制等高校野球の諸課題検討会議』のなかで合わせて議論されてきました」(前出・同)

 高野連は半年以上を掛けて議論を重ね、加盟校の指導者や有識者、ファンなどにもアンケートを実施し、導入に伴う長所と短所も洗い出してきた。

「U-18などの国際試合はDH制でしたし、大きな混乱は起きないと判断されました。また、投手の負担軽減にもつながります。多くの大学リーグや社会人でもDH制が採用されているので、現場指導者から強い反対はでなかったと聞いています」(前出・同)

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