傍聴人の9割が女性…元アイドル「上村謙信」香港わいせつ公判 主な争点は「太ももの内側」と「トイレへの誘い」

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スーツ姿で出廷

 去る3月4日、ダンス&ボーイズグループ「ONE N’ ONLY」の上村謙信(26)のグループ脱退および事務所との契約解除が突然発表された。その理由とされた「重大なコンプライアンス違反」が“女性に対するわいせつ容疑での逮捕”という事実が判明したのは翌日のこと。しかも場所は、仕事で訪問していた香港だった。

 日本とは異なりまず仮起訴から始まるため、同月4日に西九龍裁判法院(裁判所)で案件として登録された時点から、容疑者ではなく「上村被告」となった。4月15日、スーツ姿で出廷した上村被告は日本語で「認めません」と否認し、その場で泣き崩れたと報じられている。

 そして7月30日、いよいよ本格的な公判が始まり、同法院前には朝から150人以上の傍聴希望者が列を作った。傍聴席はファンらしき女性が9割だったという。上村被告はスーツ姿で出廷したが、被害を訴えているAさんは直接出廷せず、ビデオ形式での証言となった。

明らかになった事件の全容

 先に報道されている通り、事件が起こったのは3月2日夜、繁華街の飲食店で行われた打ち上げパーティーの席上。上村被告と通訳のAさんはこの日が初対面だった。

 Aさんの証言によれば、上村被告の求めに応じて隣の席に着いたが、この着席中に「太ももとその内側に触れられた」「LINEのQRコードで『友だち追加』を求められ、それを無視すると翻訳アプリを使って『一緒にトイレに行かないか』と誘われた」という。

 上村被告から「トイレ」の意味について尋ねられたAさんは「理解している」と返し、行きたいなら1人で行くようにと伝えた。そして口実を作って席を離れたところ、追ってきた上村被告に離してもらえず、外で会えるかと尋ねられた。

 Aさんに恋人がいることを知った上村被告は謝罪。Aさんを解放したが、席に戻ると再度謝罪しながらも恋人についての質問を続け、太ももに触れたという。

法廷で初めて明らかにされた事実

 弁護側の質問内容からは、接触した行為の存在自体については争わない姿勢がわかる。ポイントは被告の意図とAさんの受け取り方の相違、そして「わいせつ」に相当する行為かどうかの線引きにあるようだ。

「太ももに触れた」件について弁護側は、上村被告が身振り手振りを交えて話していた可能性を質問。Aさんは覚えていないと返答した。弁護側はまた、QRコードは“ファンクラブへの招待”ではなかったかと質問したが、Aさんはその可能性を否定している。

「トイレ」については、「連れていってほしい」といった意図ではなかったかと質問。Aさんはその見解に同意しなかったが、「トイレまで一緒に来てくれるか」と解釈することは可能だと認めた。また、その後も上村被告と会話を続けた理由については、恐怖のあまり立ち去る勇気がなかったなどと返答した。

 弁護側が明確に疑問を呈したのは、「1~2秒ほど太ももの内側に触れた」という詳細がこの公判で初めて明らかにされたことだった。敏感な部位にも関わらず、警察での告発では主張されていなかったことから、法廷で事実を誇張したのではないかと踏み込んでいる。対してAさんは、事件翌日に告発した際は睡眠不足だったため、明確に思い出せなかったと返答した。

 検察側証人として、Aさんの隣に座っていたという同僚女性も出廷。当時のAさんから状況を聞き、上村被告の手がAさんの太ももにある様子を見たことなどを証言した。

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