「横浜」春夏連覇を脅かす? 夏の甲子園 “ダークホース” “隠れ実力校”と警戒される5校とは

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全校生徒24人の通信制高校が初出場

 4校目は創部8年目で、初の甲子園出場を決めた未来富山。2018年に開校した通信制の高校で、全校生徒24人のほとんどがアスリートコースで学ぶ野球部員だという。通信制の特性を最大限に生かして、野球に打ち込む時間をたっぷり確保。ノーシードから一気に頂点へ駆け上がった。

 1回戦から登場した富山未来は、準々決勝まで4試合連続でコールド勝ち。全試合で2桁得点を挙げた。準決勝の富山第一戦こそ6得点に終わったが、決勝の高岡商戦で再び18安打13得点の猛攻を見せている。

 自慢の打線は、3番を打つ捕手の中込大が2年生ながら抜群のセンスの持ち主で、間違いなく来年のドラフト候補に名前が挙がってくるだろう。4番の江藤蓮も決勝で豪快な一発を右中間に放り込むなど、パワフルな打撃が魅力。下位にも好打者が控えている。

 エースを務めるのは4番の江藤。投手としてまだ粗削りな面もあるが、いい意味で大化けしそうな雰囲気を漂わせている。決勝は7失点を献上しながらも、155球完投勝ちを収め、スタミナも豊富だ。

 夏の甲子園でいまだベスト4の経験がない富山県勢。未来富山が新たな1ページを刻むことになるか。

スモールベースボールがチームに浸透

 最後は激戦区の岡山を勝ち抜いた岡山学芸館だ。岡山予選は強豪がひしめき合うブロックに入り、苦戦が予想された。

 初戦で甲子園準優勝の経験がある名門・岡山理大付と対戦すると、接戦の末、3―2で勝利。さらに準々決勝で創志学園を4―0、準決勝で倉敷商を3―2で、優勝候補を次々撃破した。おかやま山陽との決勝も逆転で制し、2年連続4回目の甲子園出場を決めた。

 夏2連覇の立役者となったのは左腕の青中陽希だ。決勝は疲労もあってか、おかやま山陽打線につかまったが、準決勝までの4試合中3試合を完投。エースとしてチームを牽引した。

 打線はやや迫力を欠くが、佐藤貴博監督のスモールベースボールがチームに浸透している。決勝のおかやま山陽戦は、わずか5安打ながら犠打、犠飛などを絡めて効率よく5得点。13安打4得点の相手をうっちゃった。

 また、その決勝でエース青中が打ち込まれると、すかさず控え投手の吉井翔悟を投入し、見事な火消しに成功。監督の非情な采配が実った。

 昨年の夏は甲子園で2勝しており、その経験も生きてくるはずだ。2011年の関西以来、県勢14年ぶりの夏ベスト4入りも十分狙える。

「横浜1強」だったセンバツから一転、戦国ムードが高まる夏の甲子園。果たして伏兵5校が大物食いを果たすのか。5日から始まる全48試合から目が離せない。

八木遊(やぎ・ゆう) スポーツライター
1976年生まれ。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。

デイリー新潮編集部

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