「横浜」春夏連覇を脅かす? 夏の甲子園 “ダークホース” “隠れ実力校”と警戒される5校とは
春の関東大会で山梨学院と接戦
続いて激戦区の埼玉を勝ち抜き、春夏通じて初出場を決めた叡明(埼玉)。全国的には無名の存在だが、春季大会でも県準優勝し、関東大会で山梨学院と延長にもつれ込む接戦を演じている。単に勢いだけで勝ち上がったわけではない。
県予選でターニングポイントになったのは、準々決勝の聖望学園戦。両者ともに3回まで一人の走者も出ない投手戦となったが、4回裏に叡明が6本の安打を集中し、一挙4得点を挙げた。6回にも4点を追加し、甲子園で準優勝経験もある強豪にコールド勝ち。これで一気に波に乗った。
打線は、予選7試合中4試合で2桁得点をたたき出した。準決勝の山村学園戦の延長11回にも怒涛の4連打で5点を挙げるなど、火が付くと止まらない打線は甲子園でも脅威となるだろう。
投手陣は田口遼平と増渕隼人の2本柱。エース番号を争った2人が、この1年で切磋琢磨しながらお互いに成長を遂げた。どちらも完投能力を有するが、甲子園では継投策が濃厚。どちらを先発させ、どのタイミングで代えるか、監督の采配力も問われそうだ。
初の甲子園で物おじせず、いつも通りのフルスイングと全力投球を実践できれば、旋風を巻き起こしても不思議ではない。
無念のセンバツ落選から3年
毎年のように優勝候補に挙げられてきた実力校の聖隷クリストファー(静岡)が、春夏通じてうれしい初出場。2022年のセンバツは、秋の東海大会で2位に入りながら落選の憂き目に遭ったが、その悔しさをバネに悲願を達成した。
常葉大菊川や掛川西と並び優勝候補の一角として迎えた今夏は、2回戦から登場。初戦から3試合連続で7回コールド勝ちを収め、その実力を発揮した。準々決勝の御殿場西戦で初めて終盤までもつれ込んだが、効率のいい攻撃を見せ、3―1で接戦を制した。
名門・静岡との決勝戦は、2年生左腕の高部陸が散発4安打1失点完投。序盤のリードを最後まで守り切った。高部の最大の武器は右打者の胸元に投げ込むクロスファイヤー。ストレートは常時140キロ台をマークし、変化球の切れもある。イメージ的には大阪桐蔭出身の前田悠伍(現・ソフトバンク)を彷彿とさせる。
打線は準々決勝以降の3試合で合計10得点とやや攻めあぐねたが、個々の選手が持つ打撃力は決して低くない。一発こそないが、次打者につなぐ粘り強い打撃を発揮できれば、どこからでも得点することができる。
昭和、平成、令和の3元号で甲子園出場を決めた上村敏正監督の下、初の晴れ舞台で大いに暴れ回りたい。
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