広瀬すず、長澤まさみ、河合優実…実力派女優の若さがきらめく「部活映画」で青春をチャージする【夏休み映画案内】

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 入学式後の勧誘説明会、新歓、初めての夏合宿、秋の新人戦。誰もが一度は経験したであろう部活動。これをテーマにした映画は、ボート部の女子高生5人を描いた「がんばっていきまっしょい」(1998年)が原点と言われている。以来多くが制作されたが、その中で特にお薦め、青春を感じる夏にも合う「部活映画」5本を紹介しよう。【稲森浩介/映画解説者】

10年にわたり繰り広げられる競技かるたの世界

〇「ちはやふる」シリーズ:「上の句」「下の句」(2016年)、「結び」(2018年)

 競技かるたブームのきっかけとなった末次由紀の漫画を原作に、3部作として実写映画化された。主人公の綾瀬千早(広瀬すず)、幼なじみの真島太一(野村周平)、綿谷新(新田真剣佑)、古典が好きな大江奏(上白石萌音)ら競技かるた部員が、全国大会優勝を目指す高校3年間を描く。物語全体にメリハリがあり、登場人物のキャラクターが皆ユニークで目の離せない物語絵巻となっている。

 広瀬すずと上白石萌音は実年齢と近い役を演じており、3作目「結び」では成長した姿がわかるのが面白い。その他の出演者も豪華で、「勝手にふるえてろ」(2017年)で映画初主演をする松岡茉優は、クールで圧倒的な強さを持つかるたクイーンを魅力的に演じている。また、17歳のころの萩原利久がライバル校のかるた部員として登場。わずかな出演シーンなので分かりづらいが、興味のある方は探してみてはいかがだろうか。

 映画の10年後の世界は連続ドラマ「ちはやふる―めぐり―」となった(日本テレビ系、2025年8月現在放映中)。主人公はかるた部の當真あみだが、当時のメンバーが役を引き継いで出演している。例えば大江奏(上白石萌音)は古典教師になり、競技かるた部の顧問だ。実際の年月の経過と出演者と演じる役がリンクしている面白さ。ぜひ映画を観てからその魅力を味わっていただきたい。

長澤まさみが躍進するきっかけとなった青春映画

〇「ロボコン」(2003年)

 高専に通う里美(長澤まさみ)は思いもかけずにロボット部に入部する。部には第1ロボット部からはじき出された四谷部長(伊藤淳史)、協調性はないけど天才設計者の相田(小栗旬)らがいたが、試合に負けても気にしない彼らを見て里美に火がついた。難題を乗り越え全国大会に出ることになり、そしてついに決勝戦に勝ち進む……。

 今や押しも押されもせぬ女優になった長澤まさみを一躍有名にしたのは「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)、いわゆるセカチューだ。その前年に本作で映画初主演を果たし、翌年のブレイクを予感させる伸びやかな演技を見せている。また、2年後のテレビドラマ「花より男子」(2005年)の花沢類役でブレイクした小栗旬が、ほとんど笑わない無愛想な役を好演しているのも注目だ。

 高専ロボコンは今年で38回を数え、テレビ中継もあるメジャーな大会になった。本作の撮影時は全国大会出場のロボットを使用し、長澤は旋盤加工からロボット操縦まで自ら挑戦したという。技術力だけではなくチームワークが求められるこの競技、「部活映画」との相性がとても良い題材だったことがよくわかる。

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