広瀬すず、長澤まさみ、河合優実…実力派女優の若さがきらめく「部活映画」で青春をチャージする【夏休み映画案内】

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「部活映画」の女王・成海璃子

〇「武士道シックスティーン」(2010年)

 幼いころから剣道の鍛錬を積んできた磯山香織(成海璃子)は勝利至上主義のエリート剣士。中学時代に敗れた西荻早苗(北乃きい)を倒すために同じ高校に入学する。

 この時期、成海は“何らかの部に所属する役”を多く演じている。「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」(2010年)では実話に基づいた書道部員。「山形スクリーム」(2009年)はコメディ・ホラーだが歴史研究会の合宿が舞台。「少女たちの羅針盤」(2011年)は、女子高校生劇団で起きた殺人事件を回想するミステリーと、まさしく「部活映画」の女王だった。

 本作での成海は撮影前に道場へ2カ月通い、手足に血豆ができるほど特訓したという。その成果だろうか。剣道経験者も評価するほどリアルな剣道シーンとなった。北乃きいも「ハルフウェイ」(2009年)でW主演の岡田将生と高校生を演じて人気俳優となった時期で、次第に剣道に目覚めてゆく姿を自然な演技でみせている。

 そして、早苗の姉役に波留、そのボーイフレンドに賀来賢人。今や2人とも主役をこなす俳優だが、この時点では出演シーンはわずかだ。特に波留はロングヘアのギャル風で、最近の役柄とは全く違うのが面白い。

 原作小説(誉田哲也著)は4部作だ。映画では17歳になった2人が再会するところで終わるが、小説では2年生、3年生となった2人の切磋琢磨する様子が描かれ、完結編では大学を卒業した2人が書かれている。映画を観て2人のその後が気になった人は、原作を読んでみてはいかがだろうか。

稲森浩介(いなもり・こうすけ)
映画解説者。出版社勤務時代は映画雑誌などを編集

デイリー新潮編集部

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