野球ファンの期待と不安が高まる「藤浪晋太郎」のNPB復帰 阪神OBは「ポテンシャルは今も群を抜いている」と断じるも、気がかりは「もしも甲子園で…」

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 DeNAの藤浪晋太郎は7月31日、イースタンの西武戦に先発。3イニングを投げて無安打無失点、2死球という内容で、球速は最速155キロを記録した。取材陣に藤浪は「ぼちぼちじゃないですか」と自己評価。藤浪は今年1月にMLBのマリナーズとマイナー契約を結び、3Aのレイニアーズに入団して21試合に登板したが、6月17日に自由契約となった。そして7月16日にDeNAが藤浪の獲得を発表した。

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 NPBに復帰して最初の登板となったのは7月26日のイースタン・ロッテ戦だった。先発すると1回を5球で三者凡退に打ち取り、藤浪も「まずは及第点」と手応えを感じたことを明かした。担当記者が言う。

「SNSなどネットに投稿される野球ファンの声を調べると、藤浪投手のNPB復帰に期待と不安という正反対の投稿が入り乱れ、激しい議論が沸き起こっていることが分かります。藤浪投手はNPBで日本人投手の最高球速、165・1キロの記録を持っています。期待の声は当然ですが、その一方で藤浪投手は制球難でも知られています。阪神時代の2016年からコントロールに苦しむようになり、17年には四死球の連発で注目を集めました。また20年3月には新型コロナウイルスに罹患し、その原因は合コンでした。野球ファンは『投球のコントロールも悪いし、私生活のコントロールにもプロ意識が欠如している』と猛烈に批判しました」

 ところが23年1月にMLBのアスレチックスと契約を結んで渡米すると、徐々にファンの評価が変わっていく。

 藤浪はMLBで大活躍したわけではない。だが、アスレチックス、オリオールズ、メッツ傘下の3Aシラキュース、そしてレイニアーズ……と、アメリカで野球を続けることに強いこだわりを示した。

藤浪のワースト記録

「MLBで成果が出せないと、あっさりとNPBに戻る日本人選手も増えてきました。一方の藤浪投手はアメリカで“根性”や“執念”を見せたわけで、これには野球ファンからも『藤浪を見直した』という声が増えていたのです。ただし、DeNA入団が発表されると、いわゆる“ネット世論”は変化しました。再び藤浪投手の制球を不安視する投稿が勢いを取り戻したのです。何しろ160キロの剛速球が打者の体に当たると大変なことになりかねません」(同・記者)

 改めて藤浪の制球難をデータから振り返ってみよう。阪神時代の藤浪は与死球、与四球、暴投で、その年のセ・リーグワースト1位だったことが何度もある。

 与死球は2014年と15年に「11」を記録し、これは14年と15年のセ・リーグ投手の中では最も多い数字だった。同じように与四球は15年の「82」と16年の「70」が、そのシーズンのリーグワースト1位だった。

 つまり藤浪にとって2015年という年は死球が「11」、四球が「82」に達し、15年シーズンで四死球の両方を最も多く与えたセ・リーグ投手だったことになる。さらに暴投は2013年の「8」、15年の「9」、21年の「8」が、そのシーズンでワースト1位だった。

「プロ野球ファンの記憶に残っているのは2017年のシーズンでしょう。まずは開幕前、WBCの1次ラウンドで制球難が露呈。阪神ファンが不安視する中、4月4日の対ヤクルト戦でシーズン初登板を迎えました。藤浪投手は打席に立った畠山和洋選手に死球を与え、両チームの選手が乱闘騒ぎとなり、2人の退場者が出ました。その後、7試合に登板して36四死球を与え、5月に2軍行き。8月の対広島戦で一軍に復帰しましたが、やはり与死球5、与死球2と大荒れのピッチングだったのです」(同・記者)

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