野球ファンの期待と不安が高まる「藤浪晋太郎」のNPB復帰 阪神OBは「ポテンシャルは今も群を抜いている」と断じるも、気がかりは「もしも甲子園で…」
今でも高いポテンシャル
MLBの場合はアスレチックスとオリオールズの1軍で投げた2023年の記録になるが、やはり与四球45、与死球7、暴投8と、制球難は全く解消されていない。
果たしてDeNAで藤浪は“再生”を果たせるのか──この疑問に野球解説者の広澤克実氏は「藤浪くんのポテンシャルは今でも群を抜いていると思います」と指摘する。
実は広澤氏、以前から藤浪の素質に惚れ込んでおり、現状を打破してほしいという気持ちを常に持っているという。
「投手経験者と話をする機会があれば、『どうしたら藤浪くんは復活できる?』と質問してきました。何人ものOBが様々な意見を述べてくれたので、非常に参考になりました。打者の目線から藤浪くんを分析すると、彼の特徴を“荒れ球”と指摘する人は少なくありません。ただ、好調な時のコントロールは抜群です。特に右打者のアウトローにズバリと投げ込むのを見ると、何て素晴らしい投手だろうと思います」
広澤氏は「藤浪くんが制球難に苦しんでいる原因は、走り込みが足りないからでもなく、精神的な“イップス”でもありません」と言う。
問題はリリースポイント
「理由は一つだけで、投球のメカニズムに問題があるからです。具体的にはリリースポイントです。藤浪くんはリリースポイントが早くなる傾向があり、その場合に死球は右バッターの上半身に当たります。これを藤浪くんが修正しようとしてリリースポイントが遅くなると、死球は左バッターの下半身に当たります。藤浪くんが修正すべきは正しいリリースポイントで常に投げられるよう、投球のメカニズムを再構築することなのです」(同・広澤氏)
藤浪が再生するためには、いつも正しいリリースポイントでボールを投げる必要があるという。当然ながら、ピッチングコーチの適切な指導が必要なのは言うまでもない。
「率直に申し上げて、私には懸念があります。今の野球界ではプロのコーチよりアマのコーチのほうが指導力は上、というケースが増えてきたことです。いまだにプロのコーチは『自分が教えてやる』という姿勢が抜けていません。そのためコーチと選手の相性が問題になったりしますが、アマのコーチはどんな選手にも分かりやすく指導しないと仕事になりません。そのため指導力に磨きがかかっています。さらに藤浪くんはNPBとMLBで投げ続けてきたというプライドを持っているでしょうから、理路整然と教えられるコーチが最適任だと考えられます」(同・広澤氏)
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