後半戦4連勝で「マジック点灯」の藤川阪神…主役は“三冠王”も視野の「サトテル」だけじゃない 快進撃を支える「31歳の司令塔」に熱視線

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快進撃の原動力は

 ペナントレース後半戦も連勝スタート。藤川タイガースの独走状態は確固たるものとなり、7月30日には優勝マジックナンバー39が点灯した。その原動力となっているのは、本塁打、打点でリーグトップの4番・佐藤輝明(26)。7月27日のDeNA戦、第一打席でヒットを放ったとき、1打数1安打で、一瞬だが打率もリーグトップに君臨した。同日の最終成績は4打数1安打だったため、打率成績トップの座は譲ったが、三冠王も射程圏内に入ってきた。

「OPS(出塁率プラス長打率)は、脅威の9割5分2厘です。セ・リーグでOPSが9割を超えているのは、佐藤と巨人の岡本和真(29)だけ。岡本が長期欠場している巨人と、佐藤がフル出場している阪神の差がこんなところにも表れています」(在阪記者)

 このまま行けばMVPの最有力は佐藤だが、チーム内からはちょっと意外な選手も推されていた。ペナントレース後半戦の最初のカードが終わった時点で、62試合でスタメンマスクをかぶってきた坂本誠志郎(31)である。

「5月下旬から坂本がスタメンを務める試合が多くなって来ました。梅野隆太郎(34)もいますが、バッテリー担当の野村克則コーチ(52)の言葉を借りれば、『梅野は剛のイメージ、坂本は柔』だそうです」(前出・同)

 トラ投手陣のチーム防御率は1.91(7月30日現在)。1点台は12球団随一である。また、防御率を先発と救援に分けても、前者が1.99で後者が1.77。また、トラ先発陣は93試合中51回のQS(先発投手が6回を3点以内に抑える)を達成している。スタメン捕手・坂本は7月19日の巨人戦まで7試合連続QSを記録している。

「7月26日の横浜戦で才木浩人(26)が完封勝利を飾り、『チーム零封勝利数』が21となりました。21零封は70年の22に継ぐ球団記録です」(前出・同)

 この強固な投手王国を支える坂本をファンも「正捕手」として認識しているようだが、そもそも、坂本は打撃や肩の強さといった“分かりやすいセールスポイント”を持ったキャッチャーではない。しかし、グラウンド外でも味方投手のことを考えているようだ。

「キャンプや遠征先のホテルでの食事の際、さりげなく、各投手のお皿を見ているんです。阪神はバイキング形式の食事が多いので、各投手の食べる量、好み、肉と野菜の配分、前日に食べた物と今日の違いなどを確かめ、投手の性格や体調を掴んでいます」(チーム関係者)

 ここまで5勝を挙げているルーキーの伊原陵人(24)だが、先発した12試合は全て坂本とバッテリーを組んでいる。新外国人投手のデュプランティエ(31)に対してもそうだが、坂本はキャンプ前から動画サイトなどで投手のフォームを確認し、イメージを膨らませていた。坂本自身が長所と感じた球種も伝え、彼ら自身がそれをどう捉えていて、どんな場面で使ってきたのかも質問していたそうだ。

「昼過ぎにはグラウンドに出てランニングを始めています。夏日になってもそのルーティンはかわりません。その前後で先発投手やスコアラーを交えたバッテリーミーティングも行っています」(前出・在阪記者)

 時間を惜しんで練習する様子も、投手陣からの信頼につながったのだろう。

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