読売グループで「桑田二軍監督」の評価が急上昇 “パワハラ体質”阿部監督の失速で高まる「理論派」待望論

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チキンなだけ

 もともと阿部監督は「昭和の体育会系気質」で知られていた。現役時代から感情が表に出るタイプ。2012年の日本シリーズ第2戦でサインミスをした中大の後輩・澤村拓一投手を、衆人環視のマウンド上で頭を叩いて喝を入れたのはあまりに有名な話。引退し、指導者となった後も、二軍が早大との練習試合に敗れた際に約1時間の罰走を命じ、これにMLBのダルビッシュ有投手が苦言を呈する騒ぎとなった。

 かつてならいざ知らず、今の、とりわけ若手選手にこの指導法で効果が生まれるかどうかは意見の分かれるところ。そんな懸念からか、2023年シーズンから監督に就任するに当たり、前任の原辰徳監督から、「おまえさんが思ったことは、一度は(腹に)飲み込め」と忠告されているほどだ。その“教え”を守ったのか、昨年はパワハラチックなムチの入れ方はそれほど目立たなかった。見事就任1年目でリーグ優勝を果たし、「変わった」と称賛を浴びた。

 しかし、今シーズンは上向かない成績に、ついに隠していた地金が出てしまったのか、選手にムチを入れて根性論を展開する昭和時代の指導法に逆戻りしてしまったようだ。開幕から2戦連続でKOされた戸郷には「(投球する際の)癖がみんなわかっている。あれではバッティングピッチャーだ」とバッサリ。「野球を知らないんじゃないか?」と酷評を続けていた秋広優人外野手は5月、「阿部監督たっての希望で」(前出・記者)ソフトバンクの砂川リチャード外野手とのトレードで放出した。ミスをした選手に対しては「チキン(臆病者)なだけだから」とも言い放つ。威圧的とも取れる指導法は、勝ち続ければ問題はないが、負けが混むとチームは萎縮する。選手のモチベーションも低下する恐れがある。今の結果と無関係とは言い切れないだろう。

短パンで来い

 イライラは募り、7月2日には判定に抗議し、巨人の監督としては51年ぶりの退場処分も受けている。今季の試合後の取材拒否は既に3度。取材に応じても笑顔はほとんど見られない。

「ファンサービスが信条の故・長嶋茂雄終身名誉監督や原監督とは大違い。長嶋さんなどは記者にわざわざ近寄ってきて、“何でも書いてください”“誹謗は良いけど中傷はダメよ”などと“長嶋語”を連発しながら良好な関係を築いていましたから、チームにも、その周辺にも活気と明るさがあった。阿部監督は、自分のお気に入りの記者とそれ以外の記者との対応の差が激しいことでも知られています」(巨人軍関係者)

 お気に入りの記者に対しても“上から目線”だ。酷暑が続く、真夏の時期の取材では「短パンで取材に来い!」と命令。もっとも、

「古くは川上(哲治)さん、長嶋さんや王(貞治)さん、原さんの時にも巨人の番記者にはGパンや襟なしのシャツでの取材が禁止というドレスコードがありました。ヒールで取材にくる女子アナは白い目で見られた。記者の服装チェックがあるのも巨人の伝統でもありました」(同)。

 昭和体質の割には、阿部監督はそうした伝統は自らかき消してしまっている。

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