パワハラ・セクハラで“追放”された名物キャスターはYouTubeへ 「フジの天皇」に“完全復権”の見方も
「ノーベル賞」に登場
人権侵害問題が起きたフジテレビの事実上の最高権力者だった日枝久・前取締役相談役(87)が、フジを中核とするフジサンケイグループの最大のイベント「高松宮殿下記念世界文化賞 授賞式」(10月22日)に、主催者側代表として出席する意向であることが分かった。複数のフジ関係者が証言した。「日枝氏は完全復権を目指している」との見方すらある。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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高松宮殿下記念世界文化賞は世界の優れた芸術家を顕彰する。絵画部門、彫刻部門、建築部門、音楽部門、演劇・映像部門がある。フジは「文化・芸術のノーベル賞」と謳っている。
主催はフジサンケイグループに属する公益財団法人・日本美術協会で、総裁は常陸宮殿下(89)。事務方のトップである会長・代表理事は日枝氏が担っている。
昨年11月の授賞式で日枝氏は「世界の混迷の度が深まっている。世界文化賞を通じて平和と繁栄に少しでも寄与できれば」と挨拶。この賞はフジとフジサンケイグループの存在を世界に誇示する格好の機会なのだ。
日枝氏は3月末にフジの取締役相談役とフジサンケイグループの代表を退いた。6月末にはフジの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の取締役相談役も退任した。
「日本美術協会の会長も続けられない」との見方がフジ社内では強かったが、日枝氏は降りなかった。世界文化賞は皇室と直結しており、フジとフジサンケイグループにとって極めて重要なイベントであることが理由の1つだろう。
「日枝氏がまだ自分がフジの顔だと思っている表れでもある」(フジ関係者A)
昨年11月の授賞式では岸田文雄前首相(68)も祝辞を述べた。「(世界文化賞が)今後も人々に生きる喜びや力を与えてほしい」。この賞は政界とのパイプ役もはたしている。日枝氏は政界との結び付きを重んじてきたから、これも降りたくない理由なのではないか。
日枝氏は彫刻の森美術館(神奈川県)と美ヶ原高原美術館(長野県)を運営する公益財団法人・彫刻の森芸術文化財団の代表理事も続けている。フジサンケイグループのアート部門を掌握していることになる。かつてはフジの中興の祖である故・鹿内信隆氏が一手に握っていた部門だ。フジサンケイグループのドンである証しでもある。
フジは人権侵害問題が起きたことから、総務省から行政指導を受け、再生・改革を目指している。一方で40年近くフジを支配し、古いフジの象徴だった日枝氏が、今も組織と薄皮一枚で隣り合わせにいることになる。
フジは視聴率が低迷しており、9年連続で年間視聴率が民放4位。会社規模が違うテレビ東京を除くと、最下位である。視聴率と連動するCM売上高も苦戦が続く。人権侵害問題がなくても改革は待ったなしの状態だった。日枝氏の姿が見え隠れした状態で、改革は実現できるのだろうか。
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