「パンは与えられないからサーカスを続ける」“トランプ政治”から見えてくる“参政党劇場”の第二幕

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“サーカス”を続ける

 本来、政治は自分を支持していない層も含めたすべての人の統治者になるということを考えなくてはならない、と三牧氏は言う。一方、トランプ大統領は今も自分の岩盤支持層にとっての大統領でしかなく、参政党もまた他政党の支持者を「非国民」呼ばわりしている。これでは「日本ファースト」どころではない。

 しかし議席を大きく増やしたことは事実。今後、参政党がどのように展開していくのか、トランプ大統領によるアメリカ政治から見えてくるものがある。

「トランプ大統領は現在、関税政策でも外交でも結果を出せておらず、最新のギャラップ社の世論調査で支持が4割を切りました。とりわけ無党派層からの支持率下落が著しい。こうした状況にあってトランプ大統領は今後ますます自分のコアな支持層に向けて“あなたたちは不遇な目に遭っている”と不満感を煽っていくと思います。本来政治家は国民に広く安心感を与えることが務めですが、それができないので代わりに、自分の支持層が嫌うリベラルやエリートを虐めることで、“私はあなたたちのために戦っています”というポーズをとり続けるのではないかと思います。“パンとサーカス”で、パンは与えられないので、サーカスを続けるといった状況です。アメリカは来年、独立してから250年目を迎えますが、トランプ大統領は愛国心を高めるためのさまざまなイベントを企画しています」

 アメリカ国民に実利は与えられないので、“トランプ劇場”で支持を集めるというわけだ。参政党もこれと同様になるのではないかと三牧氏は分析する。

「参政党の主張を見ていると、財政面について突き詰めて考えられているとはとても言えない。たとえば、公約には0~15歳のすべての子どもに対し月10万円を支給すると掲げられていますが、15歳以下の子どもは2024年10月1日時点で約1490万人いるため、単純計算すると、年17兆8800億円もの予算が必要となる。結局、国民に対して約束した利益を与えられない、そう判断したときに、参政党もトランプ大統領と同じ道を辿り、日本人の潜在意識にある排外主義を煽る形で、弱者バッシングに走ることで、支持を継続させるようなサーカス政治になる可能性もあるのです」

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