高まる“石破おろし”に「総裁を変えたぐらいで自民党の票は戻らない」と識者が断じる理由…頼みの「組織票」は先細りで“結党以来の危機”との声も

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高市氏のミス

 だが伊藤氏のような冷静な指摘は、自民党内だけでなく大手マスコミにも少ない。

 テレビや新聞は、むしろ“石破おろし”を煽っている。“ポスト石破”の候補者として、小泉進次郎(44)、小林鷹之(50)、高市早苗(64)、林芳正(64)、茂木敏充(69)の5氏の名前を挙げているほか、岸田文雄・元首相(67)も意欲を見せていると報じている。

「自民党の国会議員と話をすると、『高市さんが総裁になれば、参政党に流れた票が戻ってくる』との期待を耳にすることが少なくありません。しかし永田町には古くから『田んぼと傘と選挙の票は一度貸したら戻って来ない』という言葉があります。高市さんが自民党のトップになれば保守票が戻ってくるという予測は、あまりに甘いのではないでしょうか。さらに高市さん自身にも判断ミスが見受けられます。“ポスト石破”を目指す動きが、あまりにも早すぎるのです」(同・伊藤氏)

 高市氏に近い国会議員の約10人は7月23日に会合を開き、石破首相の退陣を求める署名活動などについて話し合ったという。さらに高市氏の地元である自民党奈良県連は翌24日、党の刷新を求める意見書を提出した。

麻生太郎氏の問題

「こういう時の鉄則は、最初は気配も見せてはいけない、ということです。周囲から“高市待望論”の声が高まり、だんだんと党内に広がっていく。そうなって初めて、満を持した格好で総裁選のレースに参加すべきなのです。確かに『先んずれば人を制す』という諺もありますが、逆を意味する『駄馬の先走り』という諺もあるのです。『次の総裁は私だ』という意欲を早い段階からあらわにすると、やはり逆効果です。さらに高市さんの背後には麻生太郎さん(84)がいます。これも問題視されるのは確実です」(同・伊藤氏)

 第2回【ポスト石破に「高市早苗」待望論も…識者が「高市さんが総裁選で勝つのは簡単ではない」と語る2つの理由 “後見人”のイメージが勝敗を左右する可能性】では、高市氏の評価を下げる要因として背後で動く麻生太郎氏の存在が挙げられることや、“人気がある”とされる小泉進次郎氏も、実は有権者の支持を得ていない実態を、引き続き伊藤惇夫氏の解説でお伝えする──。

註:(耕論)有権者の判断、国の行方は 牧原出さん、中北浩爾さん、崔真淑さん(朝日新聞:7月22日朝刊)

デイリー新潮編集部

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