やっと家庭の幸せを知ったのに…夫婦の「夜」に問題が 40歳夫をマチアプに走らせたバツイチ妻の酷評
亜紀さんと“電撃結婚”
そんな彼が33歳のときに“電撃結婚”したのが、例の神秘の美女、亜紀さんだった。どうしてそんな展開になったのか、不思議だったと彼は自分でも思ったそうだ。
「卒業して10年たって、当時の友人たちが集まる会を企画した。それだけなら僕も亜紀も行かなかったと思うんですが、彼らが僕らに謝りたいとわざわざ連絡をくれたんです。亜紀に会いたくなかったし、もういいよと言ったのですが、『きみには悪いことをしたと思ってる。いい男だから、僕たちはみんな嫉妬していたんだと思う』と言われて。ひょんなことから仲間はずれにされたけど、僕も誰かを恨みたくはない。10年以上前のことだし、せっかく言ってくれているのだからと参加したんです。僕自身、亜紀に謝りたかった。オレの前に現れるななんてひどいことを言ったのは後悔していたんです」
8人ほどが集まった。そこで亜紀さんが「実は私、3年前に離婚したの」とまたも電撃発表をした。子どもが物心つく前に、モラハラ夫と縁を切ったという。
「モラハラ夫の、そのモラハラぶりがひどくて、ちょっとびっくりしましたが、亜紀はけっこう笑い話に変えていて。大人だなあと感心してしまいました」
今は実母と息子の3人暮らし。がんばって働いてるよと言った亜紀さんは、神秘的な雰囲気はなくなっていたが、それがかえって親近感を覚えさせた。
亜紀さんの息子、母と過ごして「こういうのが家庭なんだ」
「みんなわだかまりがなくなって、これからもときどき会おうと話して。楽しい会でした。自宅の方向が同じだったので、亜紀と一緒に電車に乗ったら、『1杯やっていかない?』と誘われた。僕もなんだか別れがたかったから、亜紀の最寄り駅で降りて駅前のバーで再会の祝杯をあげました。あのときはごめんと謝ると、亜紀は『今になるとわかる。私、不遜な女だったもんね』と言ってくれて」
そこから思い出を語り合い、現状を伝え合った。そしてなぜかいきなり結婚話になったのだという。
「酔っていたのもあるけど、なんだか亜紀は本当にいい女だと思って。昔を知っているから気安かったのもあって、僕から『オレたち、一緒になっちゃおうよ』と言ったみたいです。はっきり記憶がないんですよ」
そのまま亜紀さんの家に行き、目が覚めたら朝だった。和室の部屋でひとり起きると、ふすまが細く開いて男の子が見ていた。
「思わず、おはようと言ったら、彼もおはようって。亜紀が『起きた?』と息子に聞いていました。そこへ亜紀のおかあさんが『娘が無理矢理、連れてきたみたいですみません。朝ご飯、食べませんか?』と。遠慮して帰ろうとしたんですが、息子が『食べていきなよ。今日は休みでしょ』って。確かに土曜日だったから休みなんだけど」
なぜかしっかり和食の朝食をごちそうになったのだが、それがとてもおいしかったのが彼の心を射止めた。さらに人懐こい息子とゲームをし、穏やかなおかあさんとお茶を飲んでいるうちに午後になった。
「いやもう、何してるんだ、オレと思って。ただ、こういうのが家庭なんだなと思いました。おかあさんは孫をかわいがっているし、亜紀も息子と対等に話してる。愛情というと大げさだけど、日常の中でお互いをちゃんと見てる感じがしたんです」
さすがに長居をしすぎて申し訳ないと帰ろうとすると、息子が『ねえ、秀平』と話しかけてきた。いつの間にか彼の名前を覚えていたのだ。
「昼ご飯も食べていきなよって。初めて来た家で、そんな図々しいことはさすがにできないから帰るよと言ったら、じゃあ、また来る? と言われて。亜紀が『無茶なこと言わないの。秀平にも予定があるんだから』と言ったので、『いや、ない。また来るよ』と息子と指切りげんまんしました」
駅まで送ってくれた亜紀さんに、「一緒になろうか」と言った。この電撃婚は、前夜、会った友人たちの間ですぐに大騒ぎとなった。
「落ち着くところに落ち着くものだとみんなに言われました」
義母と妻と突然できた息子と彼の4人暮らしが始まった。いろいろすりあわせなくてはいけないこともあったが、大きな問題は生じなかった。義母は、人情深い、温かい人だった。
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