なぜ「立憲民主党」は参院選で敗北したのか…「失われた30年を招いた自公の“共犯者”」「スローガンもネット戦略もインパクトに乏しい」と専門家

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立民を無視した大手メディア

 スローガンに次ぐ2つ目の問題点として伊藤氏は、「もともと選挙において立民は、SNSなどネットの活用が下手であり、今回の参院選も同じでした」と指摘する。これはデータが裏付けている。

 毎日新聞(電子版)が7月17日に配信した「参政党、ネットでも『台風の目』 検索数突出 テレビ出演が契機」の記事では、LINEヤフーの「ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT」が調査したデータが引用されている。

 それによると、事実上の選挙戦が始まった6月23日から7月13日まで、YAHOO!の検索内容を精査。「日本国内で何人が政党名を検索したか」を推計した。

 1位が参政で71万3400人、2位は日本保守党で14万8900人、3位は国民で13万3700人だった。

 4位はれいわ新選組で8万1100人、5位は自民で5万5330人、やっと6位で立民が登場し、検索した人数は5万2440人だった。

「参政はメディアとネットのハイブリッド効果が躍進の原動力だったと思います。都議選で3議席を獲得すると、テレビや新聞はネットの状況から『参政党に勢いがある』と無批判な報道を垂れ流しました。テレビや新聞が取り上げると、さらにネットは活況を呈します。そのネットを見て、さらにテレビや新聞が大きく報じるという、参政党にとっては理想的な好循環が生まれました。一方、参院選で立民を取り上げた報道は、ほとんどなかったと言っていいでしょう。『報道に値する政党ではない』と言われればそれまでですし、立民がネットで支持層を増やすことに失敗したのは間違いありません。その上で、テレビや新聞が参政党の報道に“偏向”していたのも事実だと思います」(同・伊藤氏)

最大の敗因

 立民が参院選で有権者の心に響くメッセージを訴えられなかった根本的な理由として、伊藤氏は右派と左派の対立を指摘する。

「立民は右派と左派が同居しており、右は自民に似た保守主義ですが、左だと社会民主主義に近づきます。今、代表を務める野田さんは右派ですから、本来であれば参院選で党を右に引っ張り、保守政党としてのアピールを行うこともできたはずです。しかしながら野田さんは左派に遠慮して主張をセーブせざるを得ず、インパクトに欠ける選挙戦となってしまいました。これこそが最大の敗因でしょう」

註:比例選4位に沈んだ立民、泉前代表「現役世代は『立憲スルー』だった」…野党連携主導権に暗雲(読売新聞オンライン:7月23日)

デイリー新潮編集部

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