「しがみついているようには見られたくないけど…」 石破首相の“居直り”は選挙前から既定路線だった

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“居直り”は既定路線

 元自民党本部事務局長で選挙・政治アドバイザーの久米晃氏が言う。

「結党以来初の衆参過半数割れで、まさに大敗です。首相は昨年の総選挙の敗北からなにも学びませんでした。国民の生活が逼迫(ひっぱく)し、既成政党に対する不満が高まっていることから目を背けてきました。効果的な物価高対策を講じず、外国人問題にも向き合ってこなかった。石破首相からは“なにもしない感”がにじみ出ています。そんな受け身で選挙に勝てるはずがありません」

 だが、今の石破首相の周囲からはこうした諫言を行える人材が払底しているようだ。敗戦の翌日、記者会見でも対米関税交渉などを念頭に、

「厳しい中、比較第1党となる議席を頂戴した。いま最も大切なことは、国政に停滞を招かないことだ。国家・国民に対する責任を果たしていかねばならない」 

 そう改めて語り、続投を正式に表明したのだが、首相の居直りは既定路線だったという。

 政治ジャーナリストの青山和弘氏が明かす。

「開票前に石破首相に取材した際、“(首相の座に)しがみついているようには見られたくないけど、辛くてもやらなきゃいけない”などと漏らしていました」

 政治部デスクが言う。

「森山裕幹事長(80)が、昨年の総選挙で地元・鹿児島入りしたのは1度きりです。しかし、参院選では実に4回も入っています。そのうち1回は前泊し、翌日丸1日かけて候補者の街宣に付き添う力の入れようでした。鹿児島は保守分裂選挙になった上、参政党が自民の票を食ってしまった。幹事長は“今回はなにかがおかしい”とぼやいていました」

森山幹事長に辞任表明しないように懇願

 自民は鹿児島でも議席を得られなかった。幹事長の面目丸つぶれである。

「選挙戦終盤、全体に加えて特に地元での敗戦色が強まると、森山幹事長は見るからに憔悴していった。実は自公過半数割れが判明し、目標未達が確定的になった時点で“辞任表明”する腹づもりだったと聞いています。とはいえ、唯一の調整役を失えば、政権は持たない。石破首相は前もって幹事長に、過半数割れになっても辞任表明しないように懇願していました」(前出の政治部デスク)

 かような事情で森山幹事長は辞任表明を思いとどまったとはいえ、河野太郎前デジタル担当相(62)が22日、フジの情報番組に生出演した際、「森山幹事長は日米交渉に関係ありません。選挙の責任者でもありますから」などと発言。党執行部の続投方針に対して異論を唱える事態に。首相以下、執行部が誰一人責任を取らない状況に党内からは憤怒の声が上がり始めている。

 その筆頭格が麻生太郎最高顧問(84)である。20日、テレビ朝日は麻生氏及び麻生派の面々が情勢分析のために集まったことに触れながら、麻生氏が周囲に「続投は認めない」と話していると報じたのである。

 京都で大逆風の中、薄氷の勝利をつかみ取った西田昌司参議院議員(66)はこう語気を強める。

「石破総理は現状の課題に取り組むために続投すると言っていますが、国民から信任されていない人は課題に取り組む資格はありません。安倍元総理が亡くなってからたった3年の間で、石破総理は安倍元総理が築いてきた多数議席という“貯金”を失い、衆参過半数割れという議席の“借金”を作ってしまった。そんな人が、責任を果たすために続投するなんて本末転倒です。まずは自分の政治責任を認めるべきです」

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