下着泥棒やストーカーは“対象外”…性犯罪歴をチェックする「日本版DBS」で身の毛もよだつ「変態教師」は一掃できるか

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起訴猶予も対象外

「性犯罪の嫌疑で逮捕されたとしても、不起訴になったものは照会できないことになっています。同じ不起訴でも、嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予に分かれています。嫌疑なしは文字通り無罪と言っていいもので、嫌疑不十分は犯罪をやった形跡はあるものの犯人ではない可能性が排除できないので不起訴とするもの。これらは照会できなくてもいいと思います。ただし、起訴猶予というのは、犯罪を犯したことは間違いなく、本人も認めていて反省もし、示談も成立しているといった場合に不起訴になるものです。不起訴は前科がつかないとはいえ、性犯罪の再犯率は80%と非常に高い。にもかかわらず、起訴猶予処分の者を照会できないのは法律として不十分です」(小川氏)

 示談も様々だという。

「児童に対する性犯罪で逮捕された教師の中には、両親も教師というケースが少なくありません。中には親が元校長や現役の校長という教師もいるでしょう。自分の子が犯罪を犯したと知ったとき、子を助けたいのはもちろんですが、自分の名誉を守るために親が慰謝料を払うこともあるのです。その場合、本人に反省はないでしょう」(小川氏)

 こども性暴力防止法はまだ完璧とはいえないようだ。なぜそうなってしまうのだろう。

「法を作る政治家たちは、もちろん犯罪には無縁でしょうから、犯罪者の心理がわかっていないんでしょうね。女の子の下着が欲しいなんて発想は理解できないでしょうから。そこが性犯罪に対する法律の難しいところだと思います」(小川氏)

 どうしたらいいのだろうか。

「最初から完璧な法律などありませんから、手直ししていけばいいと思います。ただ、こども性暴力防止法は施行までまだ1年半あります。もう少し前倒しにして進めていってもいいように思います。また、他の法律も見直していいのではないでしょうか。一昨年に撮影罪を規定する性的姿態撮影等処罰法が施行されたのですが、エスカレーターでスカートの中を盗撮するのと教師が勤務中にカメラを仕掛けて盗撮するのが同じ罪でいいのか。地位を利用して児童を盗撮した者は執行猶予なし、一発懲役でもいいのではないかと思っています。被害に遭って一生トラウマとなるこどもだっているのですから」(小川氏)

 阿部俊子文部科学相は7月1日の閣議後記者会見で、盗撮のグループチャットに参加した他の教師たちに「一刻の早く名乗り出てほしい」と呼びかけた。「犯人さん、出てらっしゃい」では手ぬるいと言われても仕方がない。

デイリー新潮編集部

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