「浜松ガールズバー殺人」の“報道”に違和感が… 中川淳一郎がNHKに言いたいこと
浜松のガールズバーの常連客の男(41歳無職)が、20代の女性店長と店員を刺殺する事件が起きました。
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これ、朝7時のNHKのラジオニュースは「男が飲食店に押し入り」と表現したのですが、意味不明でした。「居酒屋の従業員をなんで殺すんだ?」と。「相手は誰でもよかった」系の一種なのかと。ただ、別のメディアの報道で納得。飲食店はガールズバーでした。
ならば類推もできます。従業員女性に入れ込んだ男が相手にされず、自分はタダの金づるだったと思い至り、激高して凶行に及んだといった話かなって。
NHKほどのお堅い報道機関だから、男の欲とカネが渦巻くガールズバーというワードを出したくなかったのかと勘繰ってしまいました。夜のニュースではガールズバーに変わっていたので、その時点で店の態様が分かったか、飲食店では視聴者が混乱すると思ったか、そのどちらかでしょう。
もしもSMクラブで殺人が起きたらNHKはどう報じるか。「特定の性的嗜好を持つ人々の社交場」などと表現するんですかね。あまりに激しいプレイの最中に首が絞まって窒息死した場合はこうなるかも。
〈より高度な施術をしてほしいとの男性客の要望に応じてスタッフが頸動脈を圧迫したところ、男性は突然ぐったりし、その後、死亡が確認されました。なお、体には何かでたたかれたような跡も多数残っており、警察は関連を捜査中です〉
みなさまのNHKとしては、子どもも視聴していることを考慮して婉曲な表現にしているのかもしれませんが、怨恨絡みの凶悪事件だとしたら、なおさら「ガールズバー」という情報を「飲食店」と丸めたりしない方がいいでしょう。
NHKについては他にも言いたいことがあります。「ゴールデンウィーク」は映画会社の登録商標だから使わない。商品名や企業名も「良い文脈」の時は宣伝になるからと明かさない。朝の報道番組内の「まちかど情報室」というコーナーでは便利グッズの類いが頻繁に紹介されました。が、メーカー名や商品名が分からないんです。検索に不慣れな高齢者は、その商品が欲しくとも手に入れられませんよ、みなさまのNHK提供の、せっかくの情報なのに。
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ガールズバーの話に戻りますが、なんで男は従業員が自分にホレてると考えるようになるんですかね。キャバクラ、スナック、クラブ、ガールズバーで働く女性はあくまでその空間、あるいは勤務前後の「同伴」「アフター」でサービスを提供するのが「仕事」です。
なのに男は「エミちゃんのオレを見る目は誘っている。苦学生だからこの店で働いていると言ってたが、そんなけなげなコはやっぱりオレみたいな人間が好きなんだろうなウヒヒ」と日夜妄想し、時に凶行に走る。
だからこそ、安全上の観点から店内に「黒服」的な屈強な男を雇うことは重要です。ただこれも「犯人は“従業員”に取り押さえられました」なんて報じられたら、そのヤバくておっかない雰囲気が伝わりません。
やはり報道って大事です。



