FCバルセロナ来日中止騒動 渦中の「問題プロモーター」に“金銭トラブルまみれ”の過去 「口座は空っぽだった」

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 サッカーの世界的強豪・FCバルセロナが、今週末に予定されていた日本でのチャリティーマッチへの参加を急遽中止と表明した件が話題になっている(7月25日に予定通り開催されることが発表)。このゲームは、Jリーグのヴィッセル神戸がチーム発足30周年を記念して開催を予定していたチャリティーマッチ「FRIENDLY MATCH」。ノエビアスタジアム神戸で7月27日に予定されていた。しかし、開催4日前にバルセロナが「プロモーターによる重大な契約違反のため、来週日曜日に日本で予定されている試合への参加を中止せざるを得なくなった」と発表したのだ。

 この原因と報じられているのが、ゲームでプロモーターを務める企業「ヤスダグループ」である。バルセロナは来日の後に韓国でも試合を行う予定だが、この韓国・日本ツアーで企画・宣伝を担当している韓国のD-DRIVE社のCEOが23日に以下のような声明を出している。

「ヴィッセル神戸とFCバルセロナの試合は、もともとレアル・ソシエダのメインスポンサーであるヤスダグループが提案し、日本での共催となる予定でした。D-DRIVEは本日、試合の代金全額を受け取る予定でしたが、最終的に資金は到着しませんでした。ヤスダグループは、無効または偽造された書類を繰り返し提出し、すでに韓国に送金済みであると虚偽の主張をして、私たちを欺いてきました。ヤスダグループの従業員から、CEOが最終的に送金しなかったという音声録音を入手しており、意図的な詐欺行為が明確に確認されました」

 こうした事態を踏まえ、バルセロナが中止を決断したというのである。

 神戸もこれを受け、以下の声明を出している。

「FCバルセロナとの試合について、プロモーターによる契約上の問題が発生しているとの情報を受け、当クラブとしても状況の確認を行っております」

 その後、関係各所が解決に向けて動き、7月25日、予定通り開催されることが決定したものの、重大なトラブルだったことに変わりはない。

 渦中の「ヤスダグループ」は、2023年から、久保建英が所属するスペインリーグのレアル・ソシエダのスポンサーとなっているが、実は当時から、代表の周辺が「金銭トラブル」まみれであった実態を指摘されている。「週刊新潮」でも周辺を取材し、この代表の“別の顔”を明らかにしている。以下、それを再録し、今回のトラブルの背景を探ってみよう。

(「週刊新潮」2023年12月7日号記事の再録です。文中の年齢、役職、年代表記等は当時のものです)

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 サッカースペインリーグで活躍中の久保建英。彼が所属する名門レアル・ソシエダは2023年10月、日本のヤスダグループとスポンサー契約を結んだ。久保は動画で「まことにうれしく思っています」とコメントしたが、その経営者は名家の血筋を誇りつつ、カネ絡みの裁判を抱える人物だった。

 久保の奮戦は目覚ましい。2022年からソシエダでプレーし、欧州一のクラブチームを決めるチャンピオンズリーグの出場権獲得に貢献。攻撃の中心を担い、23年9月には日本人初のスペインリーグ月間MVPに選ばれた。

 目下、リーグ6位(2023年シーズン)と好調を維持するソシエダはなぜ、ヤスダグループなる耳慣れない日本の企業と関係を持つにいたったのか。

 サッカーライターいわく、

「ソシエダは、スポンサーだったイギリスの自動車販売企業『Cazoo』との契約が昨季いっぱいで切れ、ユニフォームのいわゆる“胸スポンサー枠”が空白の状態でした。現地メディアではトヨタと交渉中とも報じられたものの話はまとまらず、ヤスダが契約にこぎつけた。3年契約で、額は一説に1年あたり約5億円。ただ現地では、実態不明の企業との契約を疑問視する報道もなされています」

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