観測史上最高の猛暑で注目すべき 買ってはいけない「酷暑マンション」の見分け方
「ダイレクトビュー」を売りにするマンションには注意?
つまり、「奥行き2m」のバルコニーが付いた「南向きリビング」は、日照環境が最も優れているということだ。冬場は長時間温かな日差しを得られ、夏は強い日差しが入ってこないのである。
経済合理性の観点を加えると、ぎりぎり「延べ床面積」には算入されない、2mの奥行きがあるバルコニーを備えたマンションが最も望ましい。
逆に、バルコニーのない「ダイレクトビュー」を売りにしているマンションには注意が必要だ。たしかに眺望は魅力的だが、日射遮蔽の観点では明らかにスペックが劣っている。
雨仕舞いや防災の観点でも弱点を抱えていると言えるだろう。バルコニーには、火災時の避難経路や救助待機スペースとしての役割もある。さらに、万一ガラスが割れても、飛散物が直下の歩行者に当たるリスクを減らす「安全装置」としても機能する。
なお、バルコニーの日差しへの影響を計算するために、次図に示すモデル(バルコニーの奥行き2mの場合)を設定した。
太陽位置(高度・方位)データを元に、「三角関数」を使ってリビング床面への日差しの長さを算出した。下図は一般的なマンションの間取りを一例に、バルコニーの奥行きが2mの部屋での太陽高度を示したものだ。
買ってはいけない「酷暑マンション」を見分ける鍵は、建物の外観だけに捉われると見落としがちな「バルコニーの奥行き」にあった。「真の快適性」は、実はこうした地味なディテールにこそ宿っているのである。
東京の灼熱化が進むいま、「日照環境の優れた物件」と、夏場の過酷さを増す「酷暑マンション」とで、さらに資産価値に差が出ることも考えられる。購入を検討している方は参考にして欲しい。
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この記事の後編では、「酷暑マンション」を避けるうえで重要な、「もう1つの指標」について、引き続きマン点氏の解説をお届けする。新たな常識となりつつある「断熱マンション」の最新事情とは――。
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