「連ドラ」よりも期待大…フジテレビ復活のカギを握る「注目映画」とは 原作が「このミス」1位の話題作も
ドラマ制作の厳しい現場
6月25日に株主総会を終え、新役員体制が発足したフジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)。7月6日には「検証 フジテレビ問題~反省と再生・改革~」と題した一連の問題の背景や経緯を検証した番組を放送した。
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「番組終盤では『フジ社員はこんなにがんばっています!』とCMスポンサー各社にアピールすべく、現役社員たちの現場での働きぶりを紹介していました。新入社員のお涙ちょうだいのVTRまで盛り込んだパートにはちょっと引きましたが……」(放送担当記者)
放送後、出稿を見合わせてきた有力なCMスポンサーが出稿を再開したという発表や情報はわずか。同番組のアピール効果は薄かったようだ。
出稿見合わせによる減収は、今期のドラマ制作の現場にも影響している。今期のゴールデン・プライム帯(以下GP帯、午後7~11時)のフジ制作ドラマの主演の顔触れと、ざっくりとしたストーリーは以下の通りとなる。
まず【月9枠】はNHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」(22)でヒロインを務めた福原遥(26)主演の「明日はもっと、いい日になる」で、児童相談所のリアルな実態を描く。次に【火9枠】は森川葵(30)主演の「スティンガース 警視庁おとり捜査検証室」。警視庁に新設されたおとり捜査専門チームの活躍を描く。続く【水10枠】は藤木直人(53)主演の「最後の鑑定人」。かつて科捜研のエースだったスゴ腕鑑定人が活躍する。そして木曜午後10時の【木曜劇場枠】は木村文乃(37)主演の「愛の、がっこう。」。木村演じる教師と、Snow Manのラウール(22)の禁断の恋を描く。
「4作の主演は、いずれもフジのGP帯の連ドラで初主演です。月9枠は別の俳優が主演で、大手航空会社が全面協力するドラマの企画が進行中でしたが、一連の騒動で企画が白紙になりました。火10枠は現職の刑事はもちろん、視聴者が見ても“ぶっ飛んでいる”と思わずにいられない内容になりそうです。共演者の顔ぶれを見ても、あまり予算がかかってないのが分かります。最近、フジは特殊能力を持つ主人公が当たり前のように難事件を解決するドラマが多く、ことごとく当たりませんが、水10ドラマはその典型。藤木さんは生放送の旅バラエティー番組『朝だ!生です旅サラダ』(ABC・テレビ朝日)のMCを務めていますが、ドラマの撮影がハードなのか、少しお疲れ気味なのが気になります。そして木曜劇場は『白い巨塔』(フジ、03年)など、数々の名作ドラマを手がけた井上由美子さんの脚本。しかし、人気のラウールがホスト役ならファンが取り込めるという狙いが透けて見えます」(同前)
その「愛の、がっこう。」の初回放送終了後(10日)では、《令和7年6月28日に改正風営法が施行されました。このドラマのホストクラブにおける一部表現には、違反となりうる営業行為が含まれています》とのテロップを流し、詳細を公式サイトで説明する異例の注意喚起をしている。
「結局、月9以外は、現実離れしたストーリーばかり。優秀なドラマ班の社員が続々と退社し、残った人材でなんとか回していますが、有名脚本家を使ったドラマも含め、厳しい戦いを強いられそうです」(同前)
そして、キャスティング面も相変わらず苦しいようだ。
「1月以降、ホリプロ、東宝芸能、トップコートなどの大手事務所は、主演クラスでフジのオファーを受けていません。一方、1枠しかないカンテレ(関西テレビ)制作のドラマは、今期の磯村勇斗(32)主演の『僕達はまだその星の校則を知らない』で、フジ制作のドラマよりも社会的に意義のある内容でクオリティーが高いです」(テレビ局関係者)
ドラマの視聴率が伸び悩んだ場合、スポンサー企業の出稿が再開しても、各枠はスポンサー集めに苦戦しそうだ。そんな中、ドラマよりもはるかに安定した収益が期待できるのが、今後公開される、フジが製作に出資している映画作品だという。
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