福岡で刺身を食べて「えっ、この醤油、甘過ぎ!」…九州に移住した編集者は「むしろ東京の味付けが物足りなくなります(笑)」
最初は「甘過ぎる」と思ったが
関東の色が濃いうどんのつゆと、関西の色が薄いつゆは「地方によって異なる味」の代表格。そして、「九州の醤油」と「(大まかに)それ以外の醤油」はそれに次ぐものではなかろうか。本稿では、九州の醤油がいかにウマいかについて書いてみる。
【激甘だけど】慣れたら病みつきに 関東のスーパーでは滅多に見かけない九州醤油のパッケージ
福岡を出張で訪れた人が、刺身に添えられた醤油を使い「なんやコレ、色が濃過ぎて甘過ぎる!」と仰天することもある。あとは煮物等でも九州の味付けは甘過ぎると感じる人も多い。これについて漫画『美味しんぼ』の「日本全県味巡り」の長崎編(コミックス98巻)で主人公・山岡士郎が長崎の料理が甘過ぎると若干困るシーンが思い出される。そこでは、料理が十分甘いと「長崎から近い」、甘くないと「長崎から遠い」という言い方をするとも解説された。
これは、江戸時代に鎖国をしていた頃の名残もあり、海外との貿易が許された長崎の出島が砂糖の供給地となっていたことも影響している。だから、長崎から佐賀を通り、現在の福岡県北九州市までつながる道沿いに、様々な銘菓の店が並ぶ「シュガーロード」が生まれたとされている。
さて、そんな九州の甘い醤油だが、2020年に東京から佐賀県に拠点を移した私も最初は「甘過ぎるな」と感じた。とはいうものの、現在は九州の醤油でなくては物足りなくなってしまったのだ。それも刺身だけでなく、料理全般についてである。
漫画家の東海林さだお氏と作家の椎名誠氏が絶賛した「牛シソバター丼」というものがある。これは、バターをフライパンで溶かし、そこに牛肉を投入し、追加のバターと醤油を入れ、余熱で大量のシソの葉に熱を入れてバター醤油汁も一緒に丼に乗せるというものだが、これが美味なのである。東京時代は、千葉県が本社の醤油を使っていたのだが、今は九州のメーカーの「こいくち醤油」を使っている。私の妻は千葉の醤油が好きで、我が家は【1】千葉の醤油【2】九州の濃口醤油【3】九州の刺身醤油、の計3種類を使っている。
千葉の醤油については、妻がサッパリしたこの醤油の方が口に合う、ということで、餃子や刺身にこれを使う。私は餃子やシューマイには九州の濃口醤油を使い、料理人の特権として、料理にもコレを使う。刺身の時は九州の刺身醤油を使うのだ。
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