「自分たちの一番いい時に…」キャンディーズ解散は“有言実行” 「微笑がえし」録音で“育ての親”が涙を流した深すぎる理由
阿木燿子さんが録音直前に持参した新しい歌詞
そのレコーディングにも秘話があるという。
「“春一番”で始まる『微笑がえし』の歌詞は、実は急に変更されたものなんです。作詞の阿木燿子さんが、ボーカルのレコーディング直前に新しい歌詞を持ってきて、“絶対こっちのほうがいい”と言った。それは過去のヒット曲のタイトルがちりばめられたものになっていて、いつもはあまり自己主張が強くない阿木さんの剣幕に押されて、新しい歌詞でレコーディングしましたが、大正解でした。
久しぶりに会った3人は、下手っぴだったのがウソのように風格すら感じられた。だから、私は思い切ったことをしました。初見の楽譜をリハーサルなしでレコーディングさせたんです。3人は難なくやってのけ、私たちは感激して涙を流しました。当人たちはキョトンとしていましたが」
3人が歌い納めたのは78年4月4日。チケットを買えなかったファン数千人が後楽園球場を取り囲み、1000人の警備員、400人の機動隊が動員される物々しさの中、彼女たちが響かせた最後の歌声は、たしかに昨今のアイドルとくらべれば、上等なものだったかもしれない。
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