熱中症対策が裏目に…“がぶ飲み”で意識朦朧「ペットボトル症候群」は若年層も危ない スポドリの正しい飲み方を専門家が解説

ドクター新潮 ライフ

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1日の水分の出入りは2.5リットル

 厚生労働省の『健康のため水を飲もう講座』によれば《体重60キロの成人男性の場合、約36キロが水分》であり、1日の水分排出量は《尿・便1.6リットル、呼吸や汗0.9リットル》の計2.5リットルだ。それに対して、1日の水分摂取量は《食事1.0リットル、体内で作られる水0.3リットル》、計1.3リットルなので、意識して飲むべき(足りていない)水分量は《1.2リットル》となる。その“1.2リットル”はいったいどんな水分をとるべきなのだろうか?

「例えばイッキ飲みで血糖値を爆上げするとかでなければ、スポーツドリンクでも大丈夫ですよ! ポイントは“こまめに少しずつ飲む”ということ。がぶがぶ飲みがちな人ならスポーツドリンクなら粉で買ってきて、薄めに作っておくなども手かもしれませんね」

 スポーツドリンクの粉を薄めて飲む方法は家計的にもありがたい。“少しずつ飲めば”発症しないというなら、より糖質の多い『コカ・コーラ』や缶コーヒーなどでも大丈夫?

「コーラでもコーヒーでもなんでも、甘いからといって避けるよりは、水分としてとったほうがいい。ただし少量ずつですが。この猛暑では脱水になってしまうのが一番怖いですからね。ただしコーラ・ゼロなどの人工甘味料を使ったものは、長い目で見るとその他の病気の原因になる。生体に悪影響がありますから。ゼロカロをうたうものは、なるべくちょっと……自分なら避けます(笑)。熱中症などの脱水症状によいとすれば、麦茶や水、それに梅干や塩分チャージの飴ちゃんなどをとるのがいいですよ!」

 なにより怖いのは脱水だという。尿の色が濃い、尿が出ない、水分が飲めなくなってくるのが脱水症状のサインだ。

「さらに脱水が進んで、頭痛がして体温が上がってくるなどすると、いろんな臓器がやられてしまう。外で働く若い人はまわりから健康そうに見られてしまって危ない。高齢者も遠慮しがちな人が多く、救急車を呼びたがらない。どちらも外から見て異常を感じたら、一刻も早く受診させてあげてほしいです」

デイリー新潮編集部

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