【参政党の躍進】「安倍政権の否定になってしまう」 その勢いを与党はどう見ているか
与党が手を出せなかったテーマにも
「外国人に関して参政党は“土地・不動産購入についても厳格な制限を設け、国土やインフラの売買が安全保障上のリスクにならないよう監視体制を強化”することも掲げています。その段階にまで行かなくても、これまで以上に不動産価格の高騰などで悪影響がが高まってくれば、外国人による不動産の購入に一定の規制をかける方向にならざるを得ないのではないかとの指摘もあります。時期としては割と近い将来かもしれません」(同)
さらに、これまで主として与党が手を出せない・出してこなかったテーマに切り込む点も評価されているという。物議をかもしているが、公約に掲げる「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」もその1つだ。《終末期における過度な延命治療に高額医療費をかけることは、国全体の医療費を押し上げる要因の一つとなっており、欧米ではほとんど実施されない胃瘻・点滴・経管栄養等の延命措置は原則行わない》としている。
自己否定につながる
「参政党はSNSを中心に勢力を拡大させた政党という意味で、石丸伸二氏率いる再生の道との共通点について指摘する人もいますが、まったく違います。参政党は衆参で5人の勢力を持ち、全国で300ほどの地方組織があり地方議員は約150人いて選挙カーも備えています。一回の選挙で存続が危ぶまれるような政党ではありません」(同)
参院選後、自公は参政党とどう向き合うのだろうか。
「“微妙だ”という声が聞こえています。例えば参政党が訴える“反ワクチン”的な考え方は、安倍・菅両政権がコロナ禍で取ったスタンスとは相いれない。過去は過去と割り切れそうにも見えますが、“参政党を受け入れることは自民の自己否定につながる”といった指摘もあるほどです。訪日外国人についても安倍・菅両政権で観光立国を宣言して訪問数を増やしてきた実績があるだけに、違法外国人はともかく、一般のインバウンドに過度な対応は“自己否定となってしまうかも”とのことでした」(同)
「安倍政権を支持していた、いわゆる岩盤保守層が参政党支持に回っている」といった見方を唱える向きは多い。が、政策面で見れば、実は安倍路線の否定とも取れるところは少なくない。しかし現状、そうした政策論とは別の期待感が膨らみ続けているようだ。
与党としては、そうした政策面での批判を展開することも可能だが、それによって支持が拡大する見込みはなく、悩ましい対応が続きそうである。
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