「日枝天皇」はいまだにフジグループ内に居座っていた 昇進する元「女性アナ」たちの行方
皇族とも関係
それにより、信隆氏は飛びきりのステイタスを得る。1988年から、やはりFCGに属する公益財団法人日本美術協会が、「高松宮殿下記念世界文化賞」を主催することになったのだ。
日枝氏は2023年に彫刻の森芸術文化財団の代表理事になった。日本美術協会の会長にも2008年に就任した。フジ関係者によると、美術協会会長も続投するという。
ここで危惧や疑問が生じる。彫刻の森美術館とフジは浅からぬ関係にあり、だから同局ではCMも頻繁に流れる。イベント等のため、フジ社員が訪れる機会も多い。
そこに人権侵害問題について一切沈黙する日枝氏が残ったままでいいのだろか。旧組織と社風を一新するという目標と矛盾するのでないか。また、日枝氏との接点を持ち続けたままで、現執行部は改革がやりにくくないのだろうか。
日枝氏はフジの取締役の退任を同局やFMHの執行部から迫られた際、「俺には関係ない」と拒んだという。フジの信用が失墜する発端となった中居正広氏(52)による元女性アナウンサーへの性加害問題が、自分とは関係ないと主張したのである。
遠因は自らがつくったフジの旧組織と社風にあるという意識がないらしい。中居氏の問題で重大ミスを犯した港浩一前社長(73)、大多亮元専務(66)を起用したのもほかならぬ日枝氏なのだが、その任命責任も感じていないようだ。ほかの取締役や局長、子会社社長も日枝氏が決めていた。
日枝氏は自分には責任がないと思っていることもあって、彫刻の森芸術文化財団から離れようとしないのだろう。フジ側の幹部も日枝氏には頭が上がらなかった人ばかりなので、退任を迫りにくいようだ。
一方、「高松宮殿下記念世界文化賞」には皇族が関係する。昨年11月の授賞式典では常陸宮殿下のお言葉を常陸宮妃華子殿下がご代読された。式典では日枝氏も日本美術協会会長として挨拶を行った。
自分がつくった組織で人権侵害事案が起きていながら、説明責任を果たしていない日枝氏が、皇室との行事を主催する立場のままでいいのだろうか。昨年の受賞者は天皇、皇后両陛下とも皇居で懇談している。
日枝氏は2月に腰椎を骨折した。側近だった金光修FMH社長がごく簡単に骨折の事実を説明したが、それだけ。容体も様子も全く分かっていない。6日にフジが放送した人権侵害問題の検証番組「検証 フジテレビ問題 ~反省と再生・改革~」の取材依頼も3度断ったという。
この番組内では日枝氏がカメラに向かって話す映像が流れた。
「テレビは一方的に視聴者に語るだけでなく、視聴者とテレビ局がお互いに語り合いながら、番組づくりを進めることが、良い番組をつくり、放送文化に役立つものであろうと私は考えております」(日枝氏)
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