ある夫婦が沖縄で戦没者の「遺骨」を集め続ける理由 「戦争で亡くなった方々の人生、物語を伝えたい」

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遺骨から見えてくる“人生”

 遺骨収集を始めてから約25年。二人をこの活動へと駆り立てているものとは、いったい何なのだろう。「とにかく、小さな骨でも遺族の元へ返してあげたい」と語るのは律子さんだ。そして次のように続けた。「ニュースが『何十万人亡くなった』と報じているだけでは、そのことによって起きてしまった事実は、何も見えてこない。実際に遺族に会って、遺骨や遺留品を手渡すことで、初めてそれぞれの人生が見えてくると思っています。遺骨収集を通して、戦争で亡くなった方々の人生、物語を、私たちは伝えていきたいのです」。

 現在、こうした願いに共鳴する新たな動きも始まっている。県立那覇高校のインターアクト部の生徒たちとの共同活動だ。陣地壕から見つかったガラス瓶を溶かして栞に加工したり、遺留品のデータ整理を行ったりと、生徒たちのエネルギーが浜田夫妻の熱い思いと重なる。沖縄戦の記憶を未来へと手渡す――世代を繫ぐ架け橋が南国の青い空にかかろうとしている。(撮影・文 山口規子)

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 関連記事【沖縄激戦地で発掘された「存在しない名字のハンコ」 調査の結果明らかになった驚きの真実とは】では、浜田夫妻が数年前に沖縄で遺骨発掘を行っている際に発見したという、「存在しない名字」のハンコを巡る驚きの物語について紹介している。

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