「大谷」「ジャッジ」の異次元対決がMLBを本気にさせた…「2026年WBC」で侍ジャパンにたちふさがる“史上最強のアメリカ代表チーム”
大谷効果がWBCにも
奇しくも2人がともに2025年5月の月間MVPに選ばれたときだった。メジャーリーグ機構はその発表に合わせるように会見を開き、「野球人気の回復」を宣言した。メジャーリーグ中継やストリーミング視聴者数が増加しているとし、具体例としてFOX、ESPNを出し、前者が10%増、後者は22%増だと伝えた。さらに日本でのメジャーリーグ人気が高いことも挙げ、試合中継の契約を結んでいるNHKも視聴者数が前年比22%増で、
「東京ドームで開催されたドジャースとカブスの開幕戦を除いても、平均視聴者数は270万人。21年以降5年連続で増加している」
と表明した。人気回復の要因として、試合テンポを速めるピッチクロックの導入や、通称「大谷ルール」と呼ばれるDH制の改訂を挙げた。
大谷が先発投手として降板した後もDHでの継続出場が可能となるこのルール変更で、打者成績がアップしたことは本当だが、会見に臨んだ機構スタッフはこうも語っていた。
「大谷、ジャッジらスター選手が華やかな活躍をしている。それが大きい」
2人が対決した昨年のワールドシリーズの平均視聴者数は約1580万人(米国内)で、過去5年間では最多。AP通信が発表した23年のワールドシリーズの平均視聴者数は910万人だったので、大谷、ジャッジの活躍が野球人気の回復に結び着いたのは間違いないようだ。
2桁勝利を上げた先発投手がホームランのタイトル争いを繰り広げ、一方はシーズン60本以上を放っている。このヒーロー漫画のような活躍が「現実の世界」で繰り広げられているのだから、視聴者数が増えるのも当然だろう。
「今季もワールドシリーズで、2人の対決が再現されるのを楽しみにしているファンも多いですが、実は来年3月のWBC大会で、投手・大谷とジャッジの対決に期待する声も多く聞かれているのです」(現地記者)
アメリカ代表チームは4月時点で、前回大会に続いてマーク・デローサ氏(50)が監督を務めることと、ジャッジを主将に選んだことを発表している。WBC大会におけるアメリカ代表チームと言うと、「主力選手を出さない」「球団オーナーが非協力的」の印象もあるが、近年はそうではないという。
「なにより、選手の気持ちが変わりました。22年のサッカー・ワールドカップを観て、『世界一』の称号を争う大会への羨望、祖国を背負って試合をすることへの憧れが芽生えたようです。WBC大会を統括するWBCインクも前回大会で元エンゼルスの幹部を招き、チーム編成にあたらせました。エンゼルスのマイク・トラウト(33)が主将を買って出たのは元幹部への恩返しからです。26年大会に向けて、複数の球団を渡り歩いた編成経験者がWBCインク入りしており、彼らがネットワークを駆使してトップクラスの選手を派遣するため、交渉を続けています。ドジャースの三塁コーチャーを務めるディノ・エベルコーチが2大会連続でベンチ入りすることも決まりました」(前出・米国人ライター)
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