「交流戦全敗」と「2軍でも大炎上」…イライラ「阿部監督」がついに“こだわりを捨てた”2人の「推し選手」とは
視察に来ない
阿部の「推し」で獲得した選手と言えば、もう1人、田中将大である。阿部監督が、WBCで球を受けたことのある田中の獲得にこだわり、「魔改造」こと久保康生・巡回投手コーチに復活を任せたのは周知の通り。阿部監督は、「(田中の評価について)うだうだ言われていますけど、2桁勝って一緒に日本一になることしか考えていない」と言い切っていた。当初はローテーション入りを明言し、毎週日曜日に登板させる「サンデーマー君」構想を打ち出した。しかし、
「実際、投げさせてみると、昨季1試合、5イニングしか登板していない田中に毎週登板させるのは無理だとすぐわかった。で、4~5月は実質『中13日』となる、木曜日登板に切り替えた」(巨人関係者)
開幕後、田中は弱小打線の中日戦で1勝こそ上げたものの、その後の2試合ではメッタ打ち。5月1日の広島戦(東京ドーム)で3回被安打8、与四球3の乱調を見せて二軍落ちして以降、一軍昇格を果たしていない。以降、阿部監督の口から田中の名が出ることはほとんどなくなった。
「田中の調整は桑田(真澄)二軍監督と久保巡回コーチに“丸投げ“です。田中が投げる二軍の視察に来たこともない」(同)
6月の交流戦では、営業的な目的もあり、古巣の楽天との試合で田中を一軍復帰させ、登板させるというプランが浮上していたが、それもなくなった。また、交流戦最終戦で一軍復帰させ、先発登板させるという案も浮上していた。相手はパ・リーグ最下位“独走”のロッテだから、現在の力を見るには良い機会だ。しかし、
「阿部監督が“今のところ入り込めるところがない”と一蹴した。この試合に登板したのが、阿部監督の中大の後輩である西館(勇陽)で、しかも負け投手になったというのが皮肉です。また、その翌日、田中は二軍でのDeNA戦に先発して5回途中で被安打14、6失点の大炎上。7月2日のヤクルト戦でも5回を投げ、被安打8の4失点とボロボロです。チームの成績が上がらない今、もし田中を一軍に上げて打たれたらもう阿部監督もジ・エンド。当面、昇格はないでしょう」(同)
笑顔が消えた
こうした状況もあり、監督の表情はとにかく暗い。
「試合後の監督インタビューでは勝っても目が泳ぐ。笑顔が全く消えている。これでは選手のモチベーションも上がってこない」(同)
監督を支えるはずのコーチングスタッフも決して一枚岩ではない。
「阿部監督は今季、共著も出すなど現役時代から師と慕ってきた橋上(秀樹)さんを作戦戦略コーチに招聘し、スコアラーを兼任させるなどしてベンチにも入れています。試合での打順決めや、サイン交換などは本来、ヘッドコーチである二岡(智宏)さんの領域ですが、そこに乱れが生じている。コーチ陣で阿部監督に絶対忠誠を誓っているのは、捕手の後輩の実松(一成)バッテリーコーチくらい」(同)
既に今シーズン、試合後の阿部監督の取材拒否は3回にも及んでいる。
7月1日から始まった首位・阪神戦(甲子園)では2連敗。初戦ではトレイ・キャベッジ外野手の走塁ミスに記者団の前で不満をぶつけ、2戦目では判定に抗議して巨人の監督としては51年ぶりの退場となるなど、イライラは募るばかりだ。
松井秀喜氏の存在
阿部監督は来季までの3年契約だ。昨年就任1年目でリーグ優勝を果たしていることもあり、今シーズンの成績が振るわなくても責任問題に発展することはない。しかし、気になる存在がある。6月3日、長嶋茂雄終身名誉監督が死去。その翌日、恩師の元を訪れたOBの松井秀喜氏は、記者団の前で、「長嶋監督との約束がある」と明言した。
「この“約束”が巨人監督就任かどうは別にして、多くの球界人やマスコミがそう捉えたのは間違いない。巨人とヤンキースの4番を務め、国民栄誉賞受賞者で、ノースキャンダルの松井の監督就任を望む声は、ファンのみならず、山口寿一オーナーはじめ球団首脳部にも少なくない。松井の性格上、後輩として可愛がってきた阿部を押し退けて監督になるこということはあり得ないですが、阿部監督の成績や采配が振るわなければ、周囲が勝手に『松井待望論』を盛り上げ、“流れ”を作りに行くでしょう。そうなれば、阿部監督も決して穏やかな気持ちではいられないはずですし、試合に集中できない」(同)
巨人は前半戦が終了した際には監督が必ずオーナー報告に出向く。阿部監督にとってはオールスター前までには胸を張れる成績で折り返すことが、“今後”に向けた大切なミッションだ。
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