佐々木朗希の「元恋女房」や中日の「超高校級の強打者」らがプロの壁に阻まれる…“元・期待の新星”の現在地

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 セ・パ交流戦も終わり、リーグ戦が再開したプロ野球。ルーキーでは伊原陵人(阪神)、宗山塁(楽天)、渡部聖弥(西武)らが即戦力の期待に応える活躍を見せた。また、達孝太(日本ハム)、菅井信也(西武)、寺地隆成、山本大斗(ロッテ)といった若手がブレイクの兆しを見せている。シーズンが進むにつれて、来季以降のことを考えて、さらに若手を抜擢する球団が増えてくるだろう。

 その一方で、将来の中心選手としての片鱗を見せながらも、現在は低迷している選手がいることも事実だ。そんな“元・期待の新星”となっている選手の現状と低迷の原因を探ってみたい(成績は6月29日終了時点)。【西尾典文/野球ライター】

周りの求める基準が高くなってしまった

 まず、真っ先に名前が挙がるのが松川虎生(ロッテ)だ。2021年のドラフト1位で市立和歌山から入団。ルーキーイヤーはキャンプ、オープン戦からアピールして高卒新人捕手としては史上3人目となる開幕スタメンにも抜擢された。

 さらに佐々木朗希(現・ドジャース)の完全試合達成に貢献したことも大きな話題となり、オールスターにもファン投票で選出。最終的にこの年は70試合でスタメンマスクをかぶっており、これはチームで最多の数字である。

 しかし2年目は全体的なレベルアップを図るために1年間二軍の正捕手としてプレーしたものの、成績は伸び悩み、3年目の昨年は寺地の加入もあって、二軍でも出場機会が大きく減少。今年も、ここまで二軍で37試合の出場で打率は1割台と低迷しており、一軍昇格を果たせずにいるのだ。他球団の編成担当者は、松川の現状について、以下のように話している。

「入団した当時は守備面、特にキャッチングの良さが目立ちました。佐々木朗希の信頼を得たのも、その部分が大きかったのではないでしょうか。ただ、それはあくまでも“ルーキーとしては上手い”というレベルであり、決してプロの中で、特別に秀でていたわけではありません。2年目に二軍で起用したのも、当然の判断と言えるでしょう。問題は、そこから守備面も打撃面も大きな成長が見られないという点ですね。正直、今、大学4年生(※松川がプロ入りせず、大学に進学していた場合、今年で大学4年生)だとしても、ドラフト1位にはならないでしょう。特に“これ!”という強みがないように見えます。逆に、後輩の寺地は、打撃に関しては一軍でも十分通用するレベルにあるので、守備の拙さは、我慢して起用されています。それと、松川は1年目に一軍でそれなりに試合に出てしまったことで、周りの求める基準が高くなってしまったことも本人にとっては辛いところではないでしょうか」

 比較対象として名前の出た寺地は、1年目から二軍で結果を残し、今年は一軍でもチーム3位となる49安打を放っている。そんな寺地のいない二軍でも、今年の松川は正捕手に定着できていない。これが苦しい状況をよく物語っているだろう。

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