統一教会「韓国500億円聖地」に見る底なしの集金力 安倍元首相事件後も政権と癒着ベッタリ…教団崩壊はあるのか

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 日本では解散命令が下された統一教会(世界平和統一家庭連合)。しかし韓国では、総工費500億円とも言われる“超巨大聖地”が完成し、大々的な合同結婚式まで行われていた。尹政権との癒着疑惑もくすぶる教団の「今」を、現地ジャーナリストのノ・ミンハ氏がレポートする。

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 6月初旬、筆者は京畿道加平郡雪岳面にある、いわゆる“統一教マウル(村)”を通りかかった。山中には遠くからでも目に入る巨大な建築物がそびえていた。

 その宮殿のような建物は「天正宮」と呼ばれ、統一教会の創設者・文鮮明総裁とその妻・韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏を神格化する“聖地”の象徴である。下には、これまた巨大な「天苑宮」が続く。こちらは今年4月に開館したばかりの統一教会の博物館で、敷地面積は約5万6,200平米、延べ床面積は9万400平米という広さを誇る。

 筆者は2022年10月と12月にもここを訪れ、写真を撮った。当時、天正宮はバリケードで囲まれていたが、天苑宮は建設の真っ只中で、工事車両が出入りできる状態。比較的近づくことができた。「とんでもない規模の建物をつくろうとしているな」と予感したのを覚えているが、実際にその通りになった。

2億ウォン献金で表彰も

 今年4月13日、統一教会は天苑宮の完成を祝して大々的な開館式を開催。教団の発表によると、当日はアメリカをはじめとする世界36カ国から政治家や宗教関係者ら約5万人が参加したという。統一教会おなじみの「合同結婚式」も、同日に行われている。

 報道によれば、この天苑宮の建設費は少なくとも5,000億ウォン(約526億円)にのぼる。2022年7月に安倍晋三元首相が銃撃された事件の後、統一教会が世界的な批判に晒されていたのは知られた通り。だが、天苑宮建設を主導した韓鶴子氏はそうした空気をものともせず、むしろ献金を強く求め続けたという。

 韓国の報道などによると、統一教会は信者家庭に最低「1口」の献金を求めたとされる。1口は100万ウォン(約10万6,000円)というのが教団の基準で、21口(2,100万ウォン=約222万6,000円)以上を献金した家庭には「天勝基金勝利者」という称号を与え、2023年5月に開かれた「天苑宮奉献式」にVIP待遇で招待したという。なかには、2億1,000万ウォン(約2,226万円)を献金して教団から表彰された信者もいた。

 安倍元首相の銃撃犯・山上徹也の母親が献金した1億円も、天苑宮建設費に使われた可能性があると韓国国内では見られている。

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