憧れの人とクリスマスに初デートも「なんか慣れてる?」と感じた理由 「SNSで誕生日が2日後だと知った彼が…」

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 人生いろいろ、家族もいろいろ、幸福の形もいろいろ。近年、「結婚がゴールではない」という声も大きくなりつつあるとはいえ、ゴールインした二人には幸せになってほしいと思うのが人情というものだろう。

 そして、そのゴールに到達するまでには、十人十色のドラマがあるのは言うまでもない。目下、幸せに包まれているカップルにエールを送りつつ、出会いから現在までを根掘り葉掘り聞いてみる「令和の結婚事情レポート」。

 今回登場していただくのは、声楽家でバリトン歌手の黒田祐貴さん(32)と、ヴィオラ奏者の本田梨紗さん(27)だ。

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“美声”を聞いてファンに

 2020年11月10日。横浜での「第九」演奏会。ソリストの祐貴さんと、オーケストラの一員だった梨紗さんは同じ舞台上にいた。梨紗さんは彼の素晴らしい声に「ファンになった」といい、公演後に彼のXをフォローした。彼もフォローバックし、互いのポストで、彼が阪神、彼女は西武ファンと知ったのが縁の始まり。

 22年3月、再び同じ舞台に。梨紗さんはリハも含めた5日間、「どうにかしてごあいさつしたかったのに緊張しぃで声かけられず」と振り返る。だが終演後、楽屋で彼女を見かけて「背の高いきれいな人」と思った祐貴さんが「西武ファンの方ですよね?」と声をかけた。身長173センチの梨紗さんも、183センチある実物の彼にさらに好印象を抱く。

 12月に別々の仕事で偶然、大阪に居合わせたことが判明したが、彼女が友人と一緒と知り、彼は合流を断念。「ご一緒できるかも?」という彼女の期待は淡く散る。

「顔を直視できない」くらい緊張

 23年2月から約1年間のドイツ留学が決まっていた祐貴さんは「渡独前に一度会って食事でも」と彼女を誘う。クリスマス当日に彼女が出演する多摩でのコンサート終演後、高架下の焼き鳥居酒屋で初デート。互いの年齢や出身学校をそこで初めて知る。

 クリスマスに加え、梨紗さんの誕生日が2日後とSNSで知っていた彼は、プレゼントを持参していた。

 店員に勧められるがまま購入したハチミツ入り美容液を渡したのだが……、

「プレゼント慣れしてる。ご飯のお誘いもいろんな人にしてるんだろうな」

 そんなふうに思った、と彼女は笑う。それでも憧れの人とのデートは、彼の顔を直視できないくらいだった。

「好きな気持ちは、あります」

 互いの好意は感じつつも、彼は「渡独が控える中での交際申し出は違う」と考えていた。それでもデート後に「もう少し仲良くなりたい」と思い立ち、「もしよければドイツ行きの前に会えたら」とLINEした。彼女の返事は「12月30日空いてます」。5日後の再デートのドライブで出かけた先が秩父。名物「わらじカツ」を食べた後、奥秩父のダムへ。暗闇の中、満天の星がきらめいていた。

「好きな気持ちは、あります」と口にした祐貴さん。帰国後、なお明確に好意があれば、と話すと「付き合ってないと待てません」と彼女。「じゃあ付き合いますか」と交際を開始した。心は温まったが、極寒の零下2度。初めてつないだ手は暖を取るためだった!

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