芸能と無縁の記者が押し寄せて会見混乱…「美空ひばり死去」大報道の舞台裏 “一面トップ”をめぐる大手紙の事情
「所詮はこんなもの」vs.「彼女は昭和史」
84年に朝日新聞を退社した評論家の百目鬼恭三郎氏は、さらに手厳しい。
「朝の6時前からNHKが流しているのを見て、“こりや、ダメだ”と思ったんですよ。まあ、一般紙がクオリティーペーパーだといっても、所詮、文化度はこんなものだということでしょう。芸能人に限らず、人気さえあれば祭り上げて、英雄をこしらえてしまう。それは、戦時中に“軍神”を祭り上げたのと、何ら変わっていませんね。そして、その対極にリクルートがあるわけで、一方では悪人をこしらえて、徹底的に叩くんですよ」
それでは最後に、批判に対する各社のコメントを。
〈「一面トップに出たことは、別に不自然ではないと思いますよ。その日その日のニュースの中で、相対的に一番ニュースバリューのあるものがくるのですから」(毎日)〉
〈「ひばりさんは、単なる歌手なんかじゃありません。私どもは、彼女を昭和史として扱っています」(読売)〉
〈「紙面でどの程度の扱いにするかは、他のニュースとの兼ね合いで決まること。しかし、それよりも何よりも、美空ひばりは日本人にとって、昭和と共に存在した忘れられない歌手でした。それを紙面に反映させたんです」(朝日)〉
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第2回【「美空ひばり」死去で米国工場まで稼働させたレコード会社、葬儀中継は“争奪戦”…ファンも「金に糸目はつけない」大フィーバーの裏側】では、死去に伴い関連商品がバカ売れした現象の知られざる裏側、かつて「ひばり公演」が定番だったコマ劇場の反応などを伝える。



