伊豆大島女性死体遺棄・初公判 トラブル背景に「複数の女性との浮気動画」弁護側は「自殺」を主張するが真相は? 裁判長は「別のことを審理するのは許されない」と念押し
沖縄旅行を予定していたA子さん
この頃、A子さんは島外に住んでいたが、その後も柳瀬被告とB子との仲を不満に思って連絡を取ってきたといい、
「和解条項に反して動画等を送信され、『お前の動画流出するかもね。子供達もあんたの現実を知った方がいいと思う』などと脅されるトラブルが生じていた」(同)
そしてこの泥沼関係を引きずったまま、昨年9月9日、A子さんが来島。事件が起きたというのだが、肝心のA子さんがどのようにして亡くなったかについて検察官は「音信不通の失踪状態になった」と言うのみだった。
また、A子さんが同月12日から17日までの旅程で友人と沖縄旅行をする予定で、11日、12日発の大島発東京行きのジェット船の乗船券が柳瀬被告宅付近にあったA子さんの携帯電話から予約されていたことが確認されている、とも検察官は語った。
弁護側「遺書は遺体と一緒に焼いた」
一方、弁護側は冒頭陳述で「A子さんは自殺した」と主張した。
弁護側によれば、9月9日、大島にやってきたA子さんは柳瀬被告の自宅に宿泊。だが、そこでもA子さんは柳瀬被告の浮気を責め続けて諍いが絶えなかったという。そして、12日朝、柳瀬被告が起床すると、A子さんは自宅内で首を吊って亡くなっていたという。「火葬して海に散骨して欲しい」との書き置きが残されており、A子さんの死に自責の念を感じた柳瀬被告は遺書に従い、火葬し、海に散骨したが、遺書は遺体と一緒に焼いてしまったので存在しない、という内容だった。
その後証拠調べに入ったが、弁護側は検察側が示した証拠の一部を「死体遺棄事件との関係が薄い」として同意しないと主張した。そして「死体遺棄事件に限定して審理されるべきだ」と訴えた。一方、検察官は「被告が遺志に従ったのではなく、自己保身のため犯行に及んだことを立証するために必要な証拠」と反論した。
双方の主張を聞いている最中、裁判長が検察官を嗜めるように、
「本件は死体遺棄事件であり、別のことを審理することは許されないことですが大丈夫ですか」
と釘を刺す場面もあった。この日の裁判は1時間ほどで終了し、どの証拠が採用されるかは次回以降に持ち越されることになった。
A子さんの死の真相が解明される日は来るのか。今後の裁判に注目していきたい。
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