本気で嫌がるが「いじめ」に見えない…成功する「リアクション芸人」が持つ超高度なテクニック

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「運」が必要

「痛みを伴う笑い」に対する批判的な声が高まっている現在、リアクション芸というのは絶滅寸前の厳しい状況に置かれている。芸人が痛みや苦しみを味わったりする様子を見て笑うのは、倫理的に良くないことであるという風潮が強まっていて、それを専門にしてきた「リアクション芸人」と呼ばれる人の立場が危うくなっている。

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 そんな中でも、リアクション芸の火を絶やさないように奮闘しているテレビ制作者や芸人も存在している。それを象徴しているのが、6月11日放送の「水曜日のダウンタウン」(TBS系)で「次世代リアクション王発掘トーナメント」という企画が行われたことだった。ここでは、ドッキリ未経験の若手芸人の中から事務所や相方の推薦とオーディションで12名のリアクション王候補が選ばれ、ドッキリを仕掛けられたときのリアクションの面白さを競っていた。

 ここでトーナメント一回戦の審査員を務めていたのが、「バイきんぐ」の小峠英二、「ダイアン」の津田篤宏、「パンサー」の尾形貴弘といったリアクションの猛者たちだった。彼らは自分たちが数々のドッキリを仕掛けられ、リアクション芸で評価されてきた経験から、新人たちのパフォーマンスを専門的な目線で審査していた。

 この企画を通して改めて浮き彫りになったのは、優秀なリアクション芸人にはいくつかの条件があるということだ。もちろん、リアクションが面白いというのが最も重要なことなのだが、その面白さを成立させるためにはいくつかの必要な要素がある。

 まず、本気で嫌がっているということだ。リアクションを芸にするというのは、痛くないのに痛いふりをする、怖くないのに怖いふりをする、といった行為であると思われている人もいるかもしれない。だが、これは誤解である。もちろん、芸として大げさに演じている部分がないとは言えないが、痛いことや苦しいことを好き好んでやろうとする人はいない。

 リアクション芸人は人一倍怖がりだったり、痛みや苦しみに敏感だったりする。そういう部分がある人間が人並み以上の大きい反応をしてしまうからこそ、それが笑えるという側面がある。演技の要素が多少含まれるのだとしても、そもそも根本的にはちゃんと嫌がり、ちゃんと怖がっていなければいけない。

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